ひとことで言うと

  • 母平均の検定は、正規母集団の平均μがある値μ0に等しいかどうかを、標本平均を使って調べる検定です。
  • 母分散が既知ならz検定(標準正規分布)、未知で標本標準偏差sを使うならt検定(自由度n−1のt分布)を使います。
  • 検定統計量は「(標本平均 − μ0)÷ 標準誤差」という共通の形です。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「母平均の検定」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (6) 推定と検定
協会の学習ポイント 正規母集団の母平均の検定方法について理解する。

母平均の検定とは

「このファンドの平均超過リターンはゼロより大きいか」「ある銘柄の平均日次リターンは市場平均と異なるか」といった問いに答えるのが母平均の検定です。帰無仮説をH0:μ=μ0とし、標本平均がμ0からどれだけ離れているかを、標準誤差を単位として測ります。

母分散が既知の場合:z検定

母標準偏差σがわかっているとき、H0のもとで検定統計量zは標準正規分布に従います。有意水準5%の両側検定なら、|z|>1.96でH0を棄却します。

母分散が未知の場合:t検定

実務でも試験でも、σは未知であることがほとんどです。その場合はσの代わりに標本標準偏差s(n−1で割る不偏分散の平方根)を使い、検定統計量tは自由度n−1のt分布に従います。t分布は標準正規分布より裾が厚いため、同じ有意水準でも棄却の境目(臨界値)はzより大きくなります。nが大きくなるとt分布は標準正規分布に近づきます。

片側か両側か

対立仮説が「μ≠μ0」なら両側検定、「μ>μ0」や「μ<μ0」なら片側検定です。両側検定では有意水準αを左右にα/2ずつ振り分けるため、臨界値が片側検定より大きくなります。

押さえておきたい公式

z = (x̄ − μ0) ÷ (σ ÷ √n)母分散既知:標準正規分布に従う
t = (x̄ − μ0) ÷ (s ÷ √n)母分散未知:自由度n−1のt分布に従う
記号 意味
標本平均
μ0 帰無仮説で想定する母平均の値
σ/s 母標準偏差/標本標準偏差
n 標本の大きさ

具体例で確認

ある運用戦略の月次超過リターンを16か月分集めたところ、標本平均1.2%、標本標準偏差2.0%でした。母分散は未知です。H0:μ=0、H1:μ≠0を有意水準5%で検定します。

  1. 標準誤差:2.0 ÷ √16 = 0.5%
  2. 検定統計量:t = (1.2 − 0) ÷ 0.5 = 2.4
  3. 自由度15のt分布の両側5%臨界値:約2.131
  4. 2.4 > 2.131なので、H0を棄却します(p値は約3.0%)。

もし誤って標準正規分布の1.96を使っても結論は同じですが、tが2.0のように境目付近だと、zとtのどちらを使うかで結論が変わりえます。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「正規母集団の母平均の検定方法を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 母分散が既知ならz、未知ならtという使い分けが問われやすいです。
  • t検定の自由度はn−1であり、nと取り違えるひっかけに注意しましょう。
  • 標準誤差は標準偏差÷√nで、標準偏差そのもので割ってしまうミスが狙われやすいです。
  • t分布はnが小さいほど裾が厚く、臨界値がzより大きい点や、nが大きいと正規分布に近づく点を押さえましょう。
  • 片側・両側で臨界値が変わることを踏まえ、棄却・非棄却を判断する計算問題が考えられます。

要点まとめ

  • 母平均の検定は「(標本平均−μ0)÷標準誤差」で判断する
  • σ既知ならz検定、σ未知ならsを使ったt検定(自由度n−1)
  • t分布は裾が厚く、nが大きくなると標準正規分布に近づく
  • 対立仮説の形で片側・両側を決め、臨界値を選ぶ

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。