条件付き期待値とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 条件付き期待値は、「好況の場合」「不況の場合」のように、ある条件がわかっているときの期待値です。
- 条件ごとの期待値に、その条件が起こる確率を掛けて合計すると、全体の期待値(無条件の期待値)になります(繰り返し期待値の法則)。
- シナリオ別にリターンを予想してポートフォリオの期待リターンを求めるときに使います。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「条件付き期待値の応用」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 確率変数 |
| 協会の学習ポイント | 確率変数の条件付き期待値についてポートフォリオに応用できる。 |
条件付き期待値とは
ある事象Bが起きたという条件のもとで、確率変数Xがとる値の平均をXの条件付き期待値といい、E(X|B)と書きます。計算方法は通常の期待値と同じで、確率の代わりに条件付き確率P(X=x|B)を使って「値×条件付き確率」を合計します。
たとえば株式のリターンは、景気が良ければ高く、悪ければ低くなりやすいと考えられます。景気が好況か不況かで分けてリターンの期待値を考えたものが、条件付き期待値です。アナリストの予想も「このシナリオならこのくらい」という条件付きの形で立てることが多いため、実務的にも自然な考え方です。
繰り返し期待値の法則
条件B1, B2, …が重なりなく全体を覆っているとき、全体の期待値E(X)は、条件付き期待値E(X|Bi)にP(Bi)を掛けて合計したものに等しくなります。全確率の定理の「期待値版」と考えるとわかりやすいでしょう。
ポートフォリオへの応用
ポートフォリオのリターンは各資産リターンの加重平均なので、条件付き期待値についても「ポートフォリオの条件付き期待値=各資産の条件付き期待値の加重平均」が成り立ちます。シナリオごとにポートフォリオの期待リターンを計算し、シナリオの確率で合計すれば、全体の期待リターンが求められます。
さらに、全体の分散は「条件ごとの分散の期待値」と「条件付き期待値のばらつき(分散)」の和に分解できます(全分散の公式)。シナリオによる期待値の違いそのものがリスクの一部になる、という点が大切です。
押さえておきたい公式
具体例で確認
来年は好況(確率0.4)か不況(確率0.6)のどちらかとし、シナリオごとの期待リターンを次のように予想します。
| シナリオ | 確率 | 資産A | 資産B | A・B半分ずつ |
|---|---|---|---|---|
| 好況 | 0.4 | 12% | 4% | 8% |
| 不況 | 0.6 | −3% | 5% | 1% |
- E(A)=0.4×12+0.6×(−3)=3.0%、E(B)=0.4×4+0.6×5=4.6%
- ポートフォリオ:0.4×8+0.6×1=3.8%(=0.5×3.0+0.5×4.6でも同じ)
- 全分散の公式:各シナリオ内でのAの標準偏差を10%(分散100)とすると、条件付き期待値のばらつきは0.4×(12−3)2+0.6×(−3−3)2=54。Aの分散は100+54=154で、標準偏差は約12.4%
好況時にはAが有利、不況時にはBが有利なので、組み合わせることでシナリオによる期待リターンの振れ幅(8%と1%)が、A単独(12%と−3%)より小さくなっています。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「確率変数の期待値・標準偏差・相関係数・条件付き期待値・2変数の確率分布を理解し、ポートフォリオに応用できる」)。
試験で問われやすいポイント
- 条件付き期待値×条件の確率を合計すると全体の期待値になる、という計算手順。
- ポートフォリオの条件付き期待値も各資産の加重平均で求められること。
- シナリオの確率の合計が1になっているかを確認すること。
- 全分散=条件付き分散の期待値+条件付き期待値の分散。後者を忘れるとリスクを過小評価します。
要点まとめ
- 条件付き期待値は、ある条件のもとでの平均的な値。
- E(X)=ΣE(X|Bi)P(Bi)で全体の期待値に戻せる。
- シナリオ別の予想からポートフォリオの期待リターンを計算できる。
- 分散は「条件内」と「条件間」のばらつきに分解できる。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
