ひとことで言うと

  • ショートフォール確率は、収益率がある目標水準を下回る確率のことです。
  • VaR(Value at Risk)は、一定の信頼水準保有期間のもとで、起こりうる最大損失額の目安です。
  • どちらも分布の下側(損失側)に注目した下方リスクの指標で、正規分布を仮定すると標準化で計算できます。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「ショートフォール確率とVaR」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (5) 確率分布
協会の学習ポイント ショートフォール確率やVaR(ValueatRisk)について理解する。

ショートフォール確率とVaRとは

標準偏差は分布の上下両方向のブレを同じように扱うリスク指標です。しかし投資家が本当に気にするのは、損をする方向、つまり下方リスクであることが多いでしょう。ショートフォール確率とVaRは、この下方リスクを直接測る指標です。

ショートフォール確率

ショートフォール確率は「収益率が目標値(例:0%や最低保証利回り)を下回る確率」です。収益率Rが平均μ・標準偏差σの正規分布に従うなら、目標をRLとしてZ = (RL − μ) ÷ σと標準化し、標準正規分布表から下側確率を読み取ります。年金運用などで「元本割れの確率を何%以内に抑えたい」といった目標を設定するときに使われます。

VaR(バリュー・アット・リスク)

VaRは「保有期間(例:1日、10日、1年)のうちに、信頼水準(例:95%、99%)で生じうる最大損失額」を表します。たとえば「1年・95%VaRが1億円」とは、1年間の損失が1億円を超える確率が5%という意味です。発想としては、ショートフォール確率とは逆に、確率を先に決めてそれに対応する損失額を求めるものです。

正規分布を仮定すると、下側5%点はμ − 1.645σ、下側1%点はμ − 2.326σです。短期のVaRでは平均をほぼ0とみなし、VaR ≒ z × σ × ポートフォリオ価値と計算することもよくあります。

VaRの限界

VaRは「信頼水準を超えたときにどれだけ損をするか」は教えてくれません。また、実際の収益率は正規分布より裾が厚い(ファットテール)ことが多く、正規分布を仮定したVaRはリスクを過小評価するおそれがあります。

押さえておきたい公式

ショートフォール確率 = P(R < RL) = Φ( (RL − μ) ÷ σ )RLは目標(下限)収益率
下側α点の収益率 = μ − zα × σ95%ならz = 1.645、99%ならz = 2.326(片側)
VaR = −(μ − zα × σ) × ポートフォリオ価値平均を0とみなす場合はVaR = zα × σ × ポートフォリオ価値

具体例で確認

時価10億円のポートフォリオの年間収益率が、平均4%・標準偏差10%の正規分布に従うとします。

例1:収益率が−5%を下回るショートフォール確率

  1. Z = (−5 − 4) ÷ 10 = −0.9
  2. P = 1 − Φ(0.9) = 1 − 0.8159 = 約18.4%

例2:1年・95%VaR

  1. 下側5%点の収益率:4 − 1.645 × 10 = −12.45%
  2. VaR = 12.45% × 10億円 = 1億2,450万円

同様に99%VaRは、4 − 2.326 × 10 = −19.26%より約1億9,260万円です。信頼水準を上げるほどVaRは大きくなります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「ショートフォール確率とVaR(Value at Risk)を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • VaRは「信頼水準」と「保有期間」をセットで示す指標であることを押さえましょう。
  • VaRの計算では片側の値(95%なら1.645、99%なら2.326)を使い、両側の1.96と混同しないよう注意しましょう。
  • ショートフォール確率は損失額ではなく確率、VaRは確率ではなく損失額であるという違いが問われやすいです。
  • 平均を考慮するかどうかで計算結果が変わるため、問題文の前提をよく確認しましょう。
  • VaRは信頼水準を超えた損失の大きさを示さず、ファットテールの場合に過小評価しやすいという限界がよく問われます。

要点まとめ

  • ショートフォール確率=収益率が目標を下回る確率
  • VaR=一定の保有期間・信頼水準での最大損失額の目安
  • 正規分布なら95%は1.645σ、99%は2.326σ(片側)
  • VaRは超過時の損失の大きさを示さず、ファットテールに弱い

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。