債券の利回り計算とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 国債などの利回りには、単利ベース(日本の慣行)と複利ベース(実効利回り)の2つの計算方法があります。
- 満期まで持つ場合は最終利回り、途中で売る場合は所有期間利回りを使います。
- 市場で取引される価格から逆算した利回りが市場レート(市場利回り)で、価格と利回りは逆方向に動きます。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「金融商品の利回り計算」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (2) リターン、利回り |
| 協会の学習ポイント | 国債などの代表的な金融商品の所有期間利回り、実効利回り、市場レートの計算ができる。 |
債券の利回り計算とは
債券の「利回り」は、投資額に対して1年あたりどれだけの収益が得られるかを表します。同じ債券でも、どの時点で買い、いつまで持つか、また単利と複利のどちらで計算するかによって、使う利回りが変わります。
単利ベースの利回り(日本の慣行)
日本の債券市場では、伝統的に単利の利回りがよく使われます。1年あたりの利息に、額面(または売却価格)と購入価格の差を年数で割った「1年あたりの差益」を加え、購入価格で割ります。満期まで持つ場合を最終利回り、途中で売却する場合を所有期間利回り、発行時に買って満期まで持つ場合を応募者利回りと呼びます。
複利ベースの利回り(実効利回り)
複利の最終利回りは、債券の将来のキャッシュフロー(利息と元本)の現在価値が、ちょうど今の価格と等しくなる割引率です。つまり債券のIRRです。受け取った利息をその利回りで再投資できることを前提にした、国際的に標準的な利回りです。利息の再投資を考えるため、単利の利回りとは値が少しずれます。
市場レートと価格の関係
市場で成立している価格から逆算した利回りが、その時点の市場レート(市場利回り)です。利回りは価格から決まるため、価格が上がれば利回りは下がり、価格が下がれば利回りは上がります。国庫短期証券のような割引債(期中の利息なし)では、額面と価格の差を価格で割り、日数で年率に直した単利の利回りがよく使われます。
押さえておきたい公式
具体例で確認
クーポン1.0%(年1回払い)、残存4年の国債を98円(額面100円あたり)で購入したとします。
- 単利最終利回り:[1.0 + (100 − 98) ÷ 4] ÷ 98 × 100 = 1.5 ÷ 98 × 100 ≒ 1.531%
- 複利最終利回り:98 = 1 ÷ (1+y) + 1 ÷ (1+y)2 + 1 ÷ (1+y)3 + 101 ÷ (1+y)4 を解くと、y ≒ 1.519%
- 2年後に99.5円で売却した場合の単利所有期間利回り:[1.0 + (99.5 − 98) ÷ 2] ÷ 98 × 100 = 1.75 ÷ 98 × 100 ≒ 1.786%
また、額面100円・残存182日の国庫短期証券を99.8円で買うと、単利の利回りは (0.2 ÷ 99.8) × 365 ÷ 182 ≒ 0.402%です。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「国債などの代表的な金融商品の所有期間利回り・実効利回り・市場レートを計算できる」)。
試験で問われやすいポイント
- 単利最終利回りの式で、分母が購入価格(額面ではない)である点がよく狙われます。
- 最終利回り・所有期間利回り・応募者利回りの違い(いつ買って、いつ手放すか)を区別しましょう。
- 複利利回りは債券のIRRであり、利息を同じ利回りで再投資できることを前提にしている点が問われやすいです。
- 債券価格と利回りが逆方向に動く関係は必ず押さえましょう。
- アンダーパー(価格<100)の債券では、利回りはクーポンレートより高くなります。
要点まとめ
- 日本では単利の利回りが慣行、国際的には複利の利回りが標準
- 単利利回り=(1年あたり利息+1年あたり差損益)÷購入価格
- 複利最終利回り=キャッシュフローの現在価値を価格に一致させる割引率(IRR)
- 価格が上がれば利回りは下がる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
