ひとことで言うと

  • 金利先渡契約(FRA)は、将来の一定期間の金利を今の時点で固定する契約です。
  • 金利スワップは、利払日ごとのFRAを束ねたポートフォリオとみなせるので、その価値は各FRAの価値の合計として求められます。
  • 契約時にスワップ全体の価値はゼロでも、個々のFRAの価値はゼロではない点が重要です。

この記事では、証券アナリスト2次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「スワップと金利先渡契約の関係」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/デリバティブ分析
大分類 (4) 金利・通貨を対象としたデリバティブ
協会の学習ポイント 金利スワップ契約の価値を金利先渡契約との関係から理解する。

金利スワップとFRAの関係とは

金利先渡契約(FRA:Forward Rate Agreement)は、「将来のある期間に適用される金利」を、今の時点で決めておく契約です。たとえば「1年後から2年後までの1年間の金利を2.0%に固定する」といった約束をし、実際に1年後に決まった変動金利との差額を受け払いします。元本そのものは交換せず、金利差だけを精算する点が特徴です。

固定金利と変動金利を交換する金利スワップは、利払日ごとに「変動金利-固定金利」の差額をやり取りする取引です。これを利払日ごとに切り分けると、1回ごとの受け払いは「その期間の変動金利と固定金利(スワップレート)の差額を精算するFRA」とまったく同じ形をしています。つまり、金利スワップは同じ固定金利を約定したFRAを何本も束ねたものとみなせます。

固定払いスワップ=FRAの買いの束

固定金利を払い、変動金利を受け取る「固定払い・変動受け」のスワップは、各期間について「金利が上がれば得をするFRA」を持っているのと同じです。反対に、固定受け・変動払いのスワップは、金利が下がれば得をするFRAの束になります。どちらの立場が金利上昇で得をするかは、FRAに分解して考えると整理しやすくなります。

なぜ個々のFRAの価値はゼロにならないのか

単独のFRAであれば、契約時の固定金利はその期間のフォワード・レートに設定されるため、価値はゼロから始まります。ところがスワップでは、すべての期間に同じ1つの固定金利を使います。イールドカーブが右上がりなら、手前の期間のフォワード・レートはスワップレートより低く、先の期間はスワップレートより高くなります。そのため、固定払いの立場から見ると手前のFRAはマイナスの価値、先のFRAはプラスの価値を持ち、合計するとちょうどゼロになるようにスワップレートが決まります。

この見方を使うと、将来の変動金利をフォワード・レートで置き換え、各期間の差額を割り引いて合計するだけでスワップの価値が計算できます。スワップレートは「フォワード・レートを割引係数で加重平均したもの」と解釈することもできます。

押さえておきたい公式

FRAtの価値(固定払い側) = 想定元本 × (ft − K) × τ × Dt将来の変動金利をフォワード・レートftで置き換え、差額を割り引く
スワップの価値 = Σ FRAtの価値利払日ごとのFRAの価値を合計する
スワップレート K = Σ ftDt ÷ Σ Dt契約時に合計がゼロになる条件(期間の長さτが等しい場合)
記号 意味
ft t期目に適用されるフォワード・レート
K スワップの固定金利(スワップレート)
τ 各利払期間の長さ(年)
Dt t期目の支払日の割引係数

具体例で確認

想定元本1億円、年1回払い、期間2年の金利スワップを考えます。スポット・レート(年複利)は1年1.0%、2年2.0%とします。

  1. 割引係数:D1 = 1 ÷ 1.01 ≒ 0.99010、D2 = 1 ÷ 1.022 ≒ 0.96117
  2. フォワード・レート:1年目は1.0%(すでに決まる)、2年目は 1.022 ÷ 1.01 − 1 ≒ 3.010%
  3. スワップレート:(1 − 0.96117) ÷ (0.99010 + 0.96117) ≒ 1.990%
  4. 固定払い側から見たFRA1:(1.0% − 1.990%) × 1億円 × 0.99010 ≒ −98.0万円
  5. 固定払い側から見たFRA2:(3.010% − 1.990%) × 1億円 × 0.96117 ≒ +98.0万円

2本のFRAの価値は符号が逆で、合計はゼロになります。右上がりのカーブのもとでは、固定払い側は1年目に「払い過ぎ」、2年目に「取り戻す」形になっていることがわかります。

試験で問われやすいポイント

  • 金利スワップをFRAの束として分解し、スワップの価値=各FRAの価値の合計と説明させる問題が考えられます。
  • 契約時にスワップ全体の価値はゼロでも、個々のFRAの価値はゼロではないという点がひっかけになりやすいです。
  • 右上がりのイールドカーブでは、固定払い側から見て手前のFRAがマイナス、先のFRAがプラスになるという方向感が問われやすいです。
  • スポット・レートからフォワード・レートと割引係数を求め、スワップレートや価値を計算する手順を押さえましょう。記述式では計算過程を示せるようにしておくと安心です。
  • 固定払い・変動受けは金利上昇で得をする、というポジションの向きもFRAの見方で確認しておきましょう。

要点まとめ

  • FRA=将来の一定期間の金利を今固定し、金利差だけを精算する契約
  • 金利スワップ=同じ固定金利を約定したFRAを束ねたもの
  • スワップの価値は、フォワード・レートで置き換えた各期の差額の現在価値の合計
  • 契約時は合計がゼロになるようにスワップレートが決まるが、個々のFRAはゼロではない

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。