成行注文と指値注文とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・株式分析
ひとことで言うと
- 成行注文は価格を指定しない注文で、すぐに約定しやすい代わりに、いくらで約定するかが不確実です。
- 指値注文は価格を指定する注文で、不利な価格での約定を防げる代わりに、約定しないリスクがあります。
- 両者は「約定の確実性」と「価格の確実性」のトレードオフの関係にあります。
この記事では、証券アナリスト2次「株式分析」の学習ポイントのひとつ「成行注文と指値注文」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/株式分析 |
|---|---|
| 大分類 | (6) ポートフォリオにおけるトレーディングと最良執行 |
| 協会の学習ポイント | 成行注文と指値注文の内容や特性について理解する。 |
成行注文と指値注文とは
株式を売買するときの注文方法の基本が、成行注文と指値注文です。どちらを使うかによって、執行の速さ、約定価格、取引コストが変わるため、トレーディング戦略を考えるうえでの出発点となります。
成行注文
成行注文は「価格はいくらでもよいので、今ある反対注文と売買する」という注文です。買いの場合は売り気配の安い順に、売りの場合は買い気配の高い順に約定していきます。即時性(すぐに執行できること)を重視する注文であり、市場から流動性を「取る」側の注文といえます。ただし、注文量が気配に並ぶ数量より大きいと、より不利な価格の気配まで約定が進み、マーケット・インパクトが大きくなります。
指値注文
指値注文は「この価格かそれより有利な価格でなければ売買しない」という注文です。買いなら上限価格、売りなら下限価格を指定します。価格をコントロールできる一方、市場価格が指値に届かなければ約定せず、その後価格が逃げてしまうと機会費用(買い逃し・売り逃し)が発生します。また、板に並んだ指値注文は他の参加者に流動性を「提供」する役割を果たします。
指値注文に潜むリスク
板に置かれた指値注文は、見方を変えると他の投資家に「その価格で売買できる権利」を無償で与えているようなものです。新しい情報を持つ投資家は、有利なときだけその指値注文と取引するため、指値注文を出した側は結果的に不利な取引ばかり約定する逆選択のリスクを負います。逆に、約定しなかった場合は価格が有利に動いた後であることが多く、機会費用が生じやすくなります。
整理しておきたいポイント
| 項目 | 成行注文 | 指値注文 |
|---|---|---|
| 価格の指定 | しない | する(買いは上限、売りは下限) |
| 約定の確実性 | 高い | 低い(約定しないことがある) |
| 価格の確実性 | 低い(不利な価格になりうる) | 高い |
| 流動性との関係 | 流動性を取る(需要する) | 流動性を提供する |
| 主なコスト・リスク | スプレッド、マーケット・インパクト | 機会費用、逆選択 |
具体例で確認
ある銘柄の板で、売り気配が1,001円に100株、1,002円に200株、1,003円に300株並び、最良買い気配が1,000円だとします。ここに500株の買い注文を出すケースを考えます。
- 成行で買う場合:1,001円で100株、1,002円で200株、1,003円で200株が約定し、500株すべて買えます。平均約定価格は(1,001×100 + 1,002×200 + 1,003×200) ÷ 500 = 1,002.2円となり、最良売り気配の1,001円より不利になります。
- 1,001円の指値で買う場合:1,001円の100株だけが約定し、残り400株は板に残ります。価格は守れましたが、その後株価が上昇すれば残りを買えず、機会費用が生じます。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「成行注文・指値注文の特性とトレーダーの類型を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 成行は約定の確実性が高いが価格が不確実、指値は価格が確実だが約定が不確実という対比が基本です。
- 板情報から成行注文の平均約定価格を計算させる問題に備え、気配を順番に食っていく手順を確認しておきましょう。
- 指値注文は流動性を提供し、成行注文は流動性を需要するという関係が問われやすいです。
- 指値注文の機会費用や逆選択のリスクを記述式で説明させる形に注意しましょう。
- 急ぐ注文(情報に基づく売買など)には成行、急がない注文には指値が向く、という使い分けを押さえましょう。
要点まとめ
- 成行注文は即時性重視、指値注文は価格重視
- 成行の大口注文はマーケット・インパクトで平均約定価格が不利になる
- 指値注文には約定しないことによる機会費用と逆選択のリスクがある
- 注文の急ぎ具合と流動性に応じて使い分ける
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
