ひとことで言うと

  • ブラック=ショールズ式では、コール価値をC = S × N(d1) − K × e−rT × N(d2)で計算します。
  • 計算の流れはd1→d2→標準正規分布表でN(d)→代入の4ステップです。
  • プットはプット専用の式か、プット・コール・パリティを使ってコールから求めます。

この記事では、証券アナリスト2次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「BSモデルによる価値算出」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/デリバティブ分析
大分類 (3) オプション取引の仕組みと評価
協会の学習ポイント ブラック=ショールズ・モデルによるヨーロピアン・オプションの価値算出方法を理解する。

ブラック=ショールズ式の計算とは

ブラック=ショールズ・モデル(BSモデル)の前提のもとでは、ヨーロピアン・オプションの価格を解析的な式で求められます。試験では、株価・権利行使価格・残存期間・無リスク金利・ボラティリティの5つの数値と標準正規分布表が与えられ、実際に価格を計算する力が問われます。

式の意味をつかむ

コールの式は「S × N(d1)」と「K × e−rT × N(d2)」の差になっています。前の項は株式をN(d1)単位保有する部分、後ろの項は権利行使価格の現在価値にN(d2)を掛けた借入れ部分と読めます。つまりBS式は、コールを「株式の買い」と「借入れ」の組合せで複製したときのコストを表しています。N(d1)はコールのデルタ、N(d2)はリスク中立の世界で満期に権利行使される確率にあたります。

計算のコツ

BS式では金利は連続複利で扱うため、権利行使価格の現在価値はK × e−rTで計算します。残存期間Tとボラティリティσ、金利rは年単位にそろえることが大切です。たとえば残存3か月ならT=0.25です。また、N(d)は標準正規分布の累積確率で、dがマイナスのときはN(−d) = 1 − N(d)を使って表から読み取ります。

押さえておきたい公式

C = S × N(d1) − K × e−rT × N(d2)ヨーロピアン・コール
P = K × e−rT × N(−d2) − S × N(−d1)ヨーロピアン・プット
d1 = { ln(S ÷ K) + (r + σ2 ÷ 2) × T } ÷ (σ × √T)  d2 = d1 − σ × √T
C − P = S − K × e−rTプット・コール・パリティ(検算に便利)
記号 意味
S 現在の株価
K 権利行使価格
T 残存期間(年)
r 無リスク金利(年率・連続複利)
σ ボラティリティ(年率)
N(・) 標準正規分布の累積分布関数

具体例で確認

株価S=100円、権利行使価格K=100円、残存期間T=1年、無リスク金利r=5%、ボラティリティσ=20%のヨーロピアン・オプションを評価します。

  1. d1 = { ln(100 ÷ 100) + (0.05 + 0.04 ÷ 2) × 1 } ÷ (0.2 × 1) = 0.07 ÷ 0.2 = 0.35
  2. d2 = 0.35 − 0.2 = 0.15
  3. N(0.35) ≒ 0.6368、N(0.15) ≒ 0.5596
  4. 権利行使価格の現在価値:100 × e−0.05 ≒ 95.12円
  5. コール:100 × 0.6368 − 95.12 × 0.5596 ≒ 63.68 − 53.23 ≒ 10.45円
  6. プット:95.12 × (1 − 0.5596) − 100 × (1 − 0.6368) ≒ 41.89 − 36.32 ≒ 5.57円

検算:C − P ≒ 10.45 − 5.57 = 4.88円、S − K × e−rT ≒ 100 − 95.12 = 4.88円となり、プット・コール・パリティが成り立っています。

試験で問われやすいポイント

  • d1・d2の計算と正規分布表の読み取りを含む一連の計算過程が問われやすく、記述式では途中式を示すことが求められる場合があります。
  • 権利行使価格の割引にe−rT(連続複利)を使うことや、残存期間を年単位に直すことを忘れるミスが典型的です。
  • プットではN(−d) = 1 − N(d)を使う点、プット・コール・パリティで相互に求められる点が確認されやすいです。
  • N(d1)がデルタ、N(d2)がリスク中立確率での行使確率にあたるという式の各項の解釈も押さえておきましょう。
  • 各変数が増えたときにコール・プットの価格がどちらに動くかを、計算結果と結びつけて説明できるようにしておくと安心です。

要点まとめ

  • コール:C = S × N(d1) − K × e−rT × N(d2)
  • d2 = d1 − σ√T。単位は年、金利は連続複利
  • プットは専用の式かプット・コール・パリティで求める
  • BS式=株式N(d1)単位の買いと借入れによる複製コスト

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