クレジット戦略とスプレッド・デュレーションとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・債券分析
ひとことで言うと
- クレジット戦略の分析には、景気やセクター配分から考えるトップダウンと、個別の発行体の割安・割高から考えるボトムアップがあります。
- リスク管理では、スプレッドが1%変化したときの価格感応度であるスプレッド・デュレーションが中心的な指標です。
- 社債の国債に対する超過リターンは、「スプレッド収入 − スプレッド変化による損益 − 信用損失」でおおまかに見積もれます。
この記事では、証券アナリスト2次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「クレジット戦略とスプレッドの活用」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (9) 債券ポートフォリオによる投資戦略 |
| 協会の学習ポイント | 債券ポートフォリオにおけるクレジット戦略の分析手法やリスク管理方法、クレジット・スプレッドの利用手法について理解する。 |
クレジット戦略とスプレッド・デュレーションとは
クレジット戦略は、国債などの無リスク資産に対して、信用スプレッドから超過リターンを得ることをねらう運用です。どの信用度・セクター・発行体にどれだけ投資するかを決め、スプレッドの変化やデフォルトによる損失を管理します。
トップダウンとボトムアップ
トップダウンは、景気循環、金融政策、企業収益、デフォルト率の見通しなどのマクロ要因から、信用リスク全体をどれだけとるか、どの格付帯やセクター(業種)を多めにするかを決める方法です。たとえば景気回復を予想するなら、スプレッド縮小が見込まれる低格付やシクリカルなセクターを増やす、といった判断をします。
ボトムアップは、個別の発行体の信用分析を行い、同じセクター・同程度の信用力の銘柄のなかで、リスクに対してスプレッドが大きい(割安な)銘柄を選ぶ方法です。実際の運用では、両者を組み合わせることが多いです。
スプレッドの測り方とリスク管理
スプレッドには、同年限の国債利回りとの差であるGスプレッド、スワップ金利との差であるIスプレッド、スポットレート全体に上乗せするZスプレッド、オプションの影響を除いたOASなどがあり、目的に応じて使い分けます。スプレッドの変化に対する感応度はスプレッド・デュレーションで測ります。また、スプレッドの大きい銘柄ほどスプレッドの変動幅も大きくなりやすいことから、スプレッド・デュレーションとスプレッド水準を掛け合わせた指標(DTS)でリスクを測る方法もあります。さらに、流動性リスクや、デフォルトなどまれに起こる大きな損失(テール・リスク)への備えも重要です。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| s | 信用スプレッド(年率) |
| t | 保有期間(年) |
| SD | スプレッド・デュレーション |
| Δs | スプレッドの変化幅 |
| PD、LGD | デフォルト確率(年率)、デフォルト時損失率 |
具体例で確認
スプレッド1.5%、スプレッド・デュレーション5の社債を6か月(t = 0.5)保有します。
- スプレッド収入:1.5% × 0.5 = 0.75%
- スプレッドが0.4%拡大した場合の損失:5 × 0.4% = 2.0%
- 信用損失を考えない超過リターン:0.75% − 2.0% = −1.25%
- さらに年率のデフォルト確率1%、損失率60%を見込むと、予想信用損失は0.5 × 1% × 60% = 0.3%で、超過リターンは−1.55%
- 信用損失を考えない場合、スプレッド収入0.75%を打ち消すスプレッド拡大幅は0.75% ÷ 5 = 0.15%です。これが損益分岐のスプレッド拡大幅になります。
試験で問われやすいポイント
- トップダウンとボトムアップの違いと、それぞれで考慮する要素を説明できるようにしましょう。
- スプレッド・デュレーションを使った価格変化の計算と、超過リターンの公式を使った計算が問われやすいです。
- スプレッド収入を打ち消す損益分岐のスプレッド拡大幅(スプレッド収入 ÷ スプレッド・デュレーション)を求めさせる問題が考えられます。
- Gスプレッド、Iスプレッド、Zスプレッド、OASの基準の違いが混同しやすいので注意しましょう。
- 2次の記述式では、景気見通しに基づくセクター・格付配分の変更と、その理由を書かせる形が考えられます。
要点まとめ
- クレジット戦略はトップダウン(マクロ・セクター)とボトムアップ(個別銘柄)を組み合わせる
- スプレッド・デュレーションでスプレッド変化に対する感応度を測る
- 超過リターン≒スプレッド収入 − SD×Δs − 予想信用損失
- スプレッド指標は目的に応じてG・I・Zスプレッド、OASを使い分ける
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
