経済成長モデル(古典派・AK・内生的成長)とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 古典派の成長モデルでは、所得が増えると人口も増え、1人当たり所得は生存水準に引き戻されると考えます。
- AKモデルは資本の収穫逓減がない(Y=AK)ため、貯蓄率を上げると長期の成長率そのものが高まります。
- 内生的技術進歩モデルは、研究開発や人的資本への投資によって技術進歩がモデルの中で生まれ、持続的な成長を説明します。
この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「さまざまな成長モデル」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/経済 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 景気循環と経済成長とその要因 |
| 協会の学習ポイント | さまざまな経済成長モデル(古典派経済成長モデル、AKモデル、内生的技術進歩モデル)について説明できる。 |
経済成長モデル(古典派・AK・内生的成長)とは
経済成長の理論は、「何が長期の成長を生み、なぜ成長が止まったり続いたりするのか」という問いにさまざまな答えを出してきました。証券アナリスト2次では、ソロー=スワンモデル(新古典派)と比べながら、古典派モデル、AKモデル、内生的技術進歩モデルの考え方と違いを整理することが大切です。
古典派の成長モデル
マルサスに代表される古典派の考え方では、土地などの生産要素が固定されている中で労働を増やすと、労働の限界生産力は逓減します。技術進歩で1人当たり所得が一時的に生存水準を上回っても、それによって人口が増え、1人当たり所得は再び生存水準まで押し戻されます。つまり長期的には1人当たり所得は持続的に伸びないという、悲観的な結論になります。実際には、技術進歩が人口の伸びを上回り、所得が増えても出生率が下がったことから、多くの国ではこの予想は当てはまりませんでした。
AKモデル
AKモデルは、生産関数を Y = A・K と置き、資本の限界生産力が一定(逓減しない)と考えます。ここでの資本Kは、機械設備だけでなく人的資本や知識を含む広い概念です。収穫逓減がないため定常状態に落ち着くことがなく、成長率は g = sA − δ で決まります。このため、貯蓄率や投資を促す政策が長期の成長率を恒久的に高めることになります。また、国ごとに成長率が異なり続けるため、所得の収束は起こらないと予想します。
内生的技術進歩モデル
ローマーらの内生的成長理論では、技術(アイデア)は企業の研究開発投資から生まれると考えます。知識には、ある人が使っても他の人が同時に使える非競合性があり、一企業の研究成果が経済全体に広がるスピルオーバー(外部性)があります。そのため、経済全体では収穫逓減が起こらず、持続的な成長が可能になります。一方で、企業は研究開発の社会的な利益をすべては受け取れないため、市場に任せると研究開発は過少になりやすく、研究開発補助、特許制度、教育投資などの政策が成長率を高めうる、という含意が導かれます。
押さえておきたい公式
| モデル | 長期の1人当たり成長 | 貯蓄率・政策の効果 |
|---|---|---|
| 古典派 | 人口増加により生存水準に戻り、持続しない | 長期の1人当たり所得は改善しない |
| 新古典派(ソロー=スワン) | 外生的な技術進歩率に等しい | 所得の水準は上がるが、成長率は変わらない |
| AKモデル | sA − δ で持続 | 貯蓄率の上昇が成長率を恒久的に高める |
| 内生的技術進歩 | 研究開発・人的資本によって持続 | 研究開発・教育への政策が成長率を高めうる |
具体例で確認
AKモデルで、A=0.3、資本減耗率δ=4%、人口成長はないとします。
- 貯蓄率20%のとき:g = 0.2 × 0.3 − 0.04 = 2.0%
- 貯蓄率25%に上げると:g = 0.25 × 0.3 − 0.04 = 3.5%
AKモデルでは、この成長率の上昇がずっと続きます。これに対し、ソロー=スワンモデルでは貯蓄率を上げても成長率が上がるのは移行期間だけで、長期の成長率は技術進歩率に戻ります。同じ「貯蓄率の上昇」でも、モデルによって結論が大きく違う点が比較のポイントです。
試験で問われやすいポイント
- 各モデルの長期の1人当たり成長率の決まり方の違いを比べさせる問題が問われやすいです。
- AKモデルでは資本の収穫逓減がないため、貯蓄率の上昇が成長率を恒久的に高める点を押さえましょう。
- 内生的成長モデルの鍵となる知識の非競合性とスピルオーバー、そこから研究開発が過少になりやすいことを記述式で説明できるようにしましょう。
- 古典派モデルで1人当たり所得が生存水準に戻るメカニズム(人口増加と収穫逓減)を説明できるようにしておきましょう。
- 新古典派は収束を予想し、AKモデルは収束を予想しないという違いにも注意しましょう。
要点まとめ
- 古典派モデルは人口増加により1人当たり所得が生存水準に戻る
- AKモデルは収穫逓減がなく、成長率はsA−δで決まる
- 内生的成長モデルは研究開発や知識のスピルオーバーで持続的成長を説明する
- 政策が長期の成長率を変えうるかどうかがモデル間の大きな違い
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
