ひとことで言うと

  • 株式の売買は「約定(売買の成立)→ 清算(決済する債権・債務の確定)→ 受渡(代金と株式の交換)」の流れで完了します。
  • 注文には、価格を指定する指値注文と、価格を指定せずすぐの売買を優先する成行注文があります。
  • 指値は「価格は守れるが売買できないことがある」、成行は「すぐ売買できるが価格は読めない」というトレードオフがあります。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「売買の執行と注文方法」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/株式分析
大分類 (1) 資本市場の仕組みと株式投資
協会の学習ポイント 株式売買(執行)の手法(約定・受渡と清算)と発注方法(指値注文と成行注文)について理解する。

株式売買の執行と注文方法(指値・成行)とは

約定・清算・受渡の流れ

投資家が証券会社に出した注文は、取引所に取り次がれ、反対側の注文と条件が合えば売買が成立します。これを約定といいます。約定した時点で「誰が何株をいくらで買った(売った)か」が確定しますが、まだ代金も株式も移動していません。

次に清算が行われます。取引所で成立した売買については、清算機関が売り手と買い手の間に入り、それぞれの取引の相手方となって決済を保証します。さらに、同じ銘柄の買いと売りを差し引きして(ネッティング)、実際に受け渡す株数や金額を確定させます。これにより、取引相手が決済できなくなるリスクが抑えられ、決済の手間も減ります。

最後に受渡で、代金の支払いと株式の引渡しが行われ、取引が完了します。日本の上場株式では、約定日から2営業日後(T+2)に受渡しを行う仕組みが採られています(決済期間は見直されることがあるため、最新の制度も確認しておきましょう)。株式は電子化されているため、株式の引渡しは振替口座簿の記録の書き換えで行われます。

指値注文と成行注文

指値注文は、「1,000円以下なら買う」「1,200円以上なら売る」のように、売買の価格を指定する注文です。想定外の価格で売買されることはありませんが、市場価格が指定した価格に届かなければ約定しません。

成行注文は、価格を指定せず「いくらでもよいので買う(売る)」という注文です。その時点で出ている反対側の注文と優先的に約定するので、すぐに売買が成立しやすい一方、売買が少ない銘柄や急変時には、予想より不利な価格で約定することがあります。

注文の優先順位

取引所では、注文を突き合わせる際に一定の優先ルールがあります。まず成行注文は指値注文に優先します(成行優先)。指値注文どうしでは、買いは高い価格、売りは安い価格が優先されます(価格優先の原則)。同じ価格なら先に出された注文が優先されます(時間優先の原則)。

整理しておきたいポイント

比較の観点 指値注文 成行注文
価格の指定 あり(上限・下限を指定) なし
約定のしやすさ 指定価格に届かないと約定しない 約定しやすい(優先される)
約定価格 指定価格か、それより有利な価格 その時点の相手方の注文次第で、不利になることもある
向いている場面 価格を重視したいとき すぐに売買を成立させたいとき

具体例で確認

ある銘柄の売り注文が、次のように並んでいるとします。

  • 1,000円:200株
  • 1,005円:300株
  • 1,010円:500株

成行で600株を買う場合:安い売り注文から順に約定し、1,000円で200株、1,005円で300株、1,010円で100株を買うことになります。代金は602,500円で、平均約定価格は約1,004.2円です。すべて約定しますが、最初に見えていた1,000円より高い価格でも買っています。

1,005円の指値で600株を買う場合:1,005円以下の売り注文である1,000円の200株と1,005円の300株、あわせて500株が約定します(平均1,003円)。残る100株は1,010円の売り注文とは合わないため、1,005円の買い注文として板に残り、約定を待つことになります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「株式売買(執行)の手法(約定・受渡・清算)と発注方法(指値注文・成行注文)を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 約定・清算・受渡の順序と、それぞれの意味の区別が問われやすいです。
  • 清算機関が売り手・買い手の相手方となって決済を保証する役割(取引相手のリスクを抑える)が狙われやすいです。
  • 指値注文と成行注文のメリット・デメリットを逆に書いた選択肢は、ひっかけとして出されやすいです。
  • 成行優先・価格優先・時間優先の原則。買い注文は「高い価格ほど優先」、売り注文は「安い価格ほど優先」という向きを混同しやすいです。
  • 成行注文でも、板の状況によっては複数の価格で約定する(平均約定価格が変わる)点を押さえておきましょう。

要点まとめ

  • 売買は約定 → 清算 → 受渡の流れで完了する。
  • 清算機関が相手方となって決済を保証し、ネッティングで決済を効率化する。
  • 指値は価格重視、成行は約定重視。
  • 注文の優先順位は成行優先・価格優先・時間優先。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。