期待効用最大化原理とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- 期待効用最大化原理は、結果が不確実なとき、投資家は「結果の期待値」ではなく「効用の期待値(期待効用)」が最大になる選択肢を選ぶ、という考え方です。
- 期待効用は、各結果の効用に発生確率を掛けて合計して求めます。
- リスク回避的な投資家は、期待値が高くてもリスクの大きい選択肢を選ばないことがあります。
この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「期待効用最大化原理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (1) 現代ポートフォリオ理論 |
| 協会の学習ポイント | 期待効用最大化原理について理解する。 |
期待効用最大化原理とは
将来の結果が1つに決まらない状況で、どの選択肢を選ぶべきでしょうか。最も単純な考え方は、結果の期待値(平均的に得られる金額)が最大になるものを選ぶ方法です。しかし、この方法では「確実に100万円もらえる」と「50%で200万円、50%で0円」を同じ価値と判断してしまい、多くの人の実感と合いません。
そこで考え出されたのが期待効用最大化原理です。各結果を効用関数で「満足度」に置き換え、その期待値(期待効用)を比べて、最も大きいものを選びます。この考え方は、期待値では説明できない「サンクトペテルブルクのパラドックス」をベルヌーイが効用の概念で説明したことに始まり、その後フォン・ノイマンとモルゲンシュテルンによって、一定の合理的な選好の公理から導かれる理論として整備されました。
期待値基準との違い
効用関数が直線(リスク中立的)なら、期待効用最大化と期待値最大化は同じ選択になります。一方、効用関数が凹関数(リスク回避的)なら、ばらつきの大きい結果は期待効用を押し下げるため、期待値が少し低くても確実な選択肢が選ばれることがあります。
期待効用最大化原理は、ポートフォリオ理論の出発点です。後で学ぶ平均・分散アプローチも、一定の条件のもとで期待効用最大化と同じ結論を導く方法として位置づけられます。なお、現実の人間の意思決定がこの原理から外れる現象も知られており、それを扱うのが行動ファイナンスの分野です。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| pi | 結果iが起こる確率 |
| Wi | 結果iのときの富 |
| U(・) | 効用関数 |
具体例で確認
効用関数 U(W) = √W の投資家が、次の2つから選ぶとします。
- A:確実に150を受け取る
- B:50%で0、50%で400を受け取る
期待値で比べると:Aは150、Bは0.5 × 0 + 0.5 × 400 = 200なので、Bのほうが大きくなります。
期待効用で比べると:
- A:√150 ≒ 12.25
- B:0.5 × √0 + 0.5 × √400 = 0.5 × 20 = 10
期待効用はAのほうが大きいので、この投資家はAを選びます。Bの確実性等価は 102 = 100 で、この投資家にとってBは「確実な100」と同じ価値しかありません。リスク中立的な投資家(効用が直線)なら、期待値の大きいBを選ぶことになります。
試験で問われやすいポイント
- 期待効用は「効用の期待値」であり、「期待値の効用」ではないこと。計算の順番(先に効用に変換してから確率で加重平均)が問われます。
- リスク回避的な投資家は、期待値が大きくてもリスクの大きい選択肢を選ばないことがある点。
- リスク中立的な投資家では、期待効用最大化と期待値最大化が一致すること。
- 確実性等価を求めて選択肢を比べる計算問題。
- 平均・分散アプローチが期待効用最大化と整合する条件(別記事)につながる論点であること。
要点まとめ
- 不確実な状況では期待効用が最大になる選択をする。
- 期待効用=各結果の効用×確率の合計。
- リスク回避的なら期待値が高い選択肢を選ぶとは限らない。
- リスク中立なら期待値基準と同じ結論になる。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
