クレジット分析とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・債券分析
ひとことで言うと
- クレジット分析は、発行体が借りたお金を約束どおり返せるかを、財務指標などから判断することです。
- 主に財務の安全性(自己資本比率、D/Eレシオ)、利払い能力(インタレスト・カバレッジ・レシオ)、債務の返済能力(有利子負債/EBITDAなど)を見ます。
- 指標は業種ごとの水準や時系列の変化とあわせて評価することが大切です。
この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「財務指標によるクレジット分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (7) 社債投資と信用リスクの分析 |
| 協会の学習ポイント | 債券発行者の財務指標に基づく発行体や債券のクレジット分析方法を理解する。 |
財務指標によるクレジット分析とは
株式投資では企業の成長性や利益の伸びが重視されますが、社債投資家にとって大切なのは、元本と利息が確実に支払われるかどうかです。社債は業績がいくら良くても受け取れる金額が決まっているため、クレジット分析では「悪い状況になっても返済できるか」という下振れに強いかどうかを中心に見ます。
主な着眼点
第1は財務の安全性です。総資産に占める自己資本の割合(自己資本比率)が高いほど、損失が出ても債権者への返済余力があると考えられます。有利子負債と自己資本の比率(D/Eレシオ)が低いほど、借入への依存度が低いことを示します。
第2は利払い能力です。インタレスト・カバレッジ・レシオは、本業の利益などが支払利息の何倍あるかを示し、高いほど利払いに余裕があります。
第3は債務の返済能力です。有利子負債がEBITDA(営業利益に減価償却費を足した、おおまかな現金創出力)の何年分にあたるかを示す有利子負債/EBITDA倍率は、小さいほど早く返済できることを意味します。営業キャッシュフローやフリー・キャッシュフローの安定性も重要です。短期的な支払能力を見る流動比率なども補助的に使います。
数字以外の要素
財務指標は過去の数値なので、それだけでは十分ではありません。業界の競争環境や景気への感応度、事業の多角化、経営方針、財務上の特約の有無なども合わせて判断します。また、同じ数値でも業種によって適正水準は異なるため、同業他社との比較や過去からの推移を見ることが大切です。
押さえておきたい公式
具体例で確認
総資産がともに1,000億円のA社とB社を比べます。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 自己資本 | 350億円 | 150億円 |
| 有利子負債 | 400億円 | 600億円 |
| 営業利益 | 120億円 | 40億円 |
| 受取利息・配当金 | 10億円 | 2億円 |
| 支払利息 | 20億円 | 30億円 |
| 減価償却費 | 80億円 | 60億円 |
- 自己資本比率:A社 35%、B社 15%
- インタレスト・カバレッジ・レシオ:A社(120 + 10)÷ 20 = 6.5倍、B社(40 + 2)÷ 30 = 1.4倍
- 有利子負債/EBITDA:A社 400 ÷ 200 = 2.0倍、B社 600 ÷ 100 = 6.0倍
- D/Eレシオ:A社 約1.14倍、B社 4.0倍
どの指標でもA社のほうが返済余力が大きく、一般にはA社のほうが格付は高く、スプレッドは小さくなると考えられます。B社は利益が少し減るだけで利払いが苦しくなる状態です。
試験で問われやすいポイント
- 各指標の計算式と、「高いほど良い」「低いほど良い」の方向。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子と分母(支払利息)の取り違え。
- 社債投資家は成長性よりも下振れ時の返済能力を重視する、という視点の違い。
- 指標は業種によって適正水準が異なり、同業比較や時系列比較が必要な点。
- 財務指標だけでなく、事業リスクや特約などの定性的要素も考慮する点。
要点まとめ
- クレジット分析は元利金を確実に返せるかを判断するもの。
- 安全性(自己資本比率・D/E)、利払い能力(ICR)、返済能力(有利子負債/EBITDA)を見る。
- ICRは高いほど、有利子負債/EBITDAは低いほど良好。
- 業種特性、推移、定性的要素とあわせて総合的に判断する。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
