相関とリスク削減効果とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- 資産間の相関係数が1より小さいと、組み合わせたポートフォリオのリスク(標準偏差)は、個々の資産のリスクの加重平均より小さくなります。これが分散投資の効果です。
- 相関係数が低いほどリスク削減効果は大きく、−1なら組み合わせ次第でリスクをゼロにできます。
- 銘柄数を増やしても、全銘柄に共通する市場リスクは消すことができません。
この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「相関とリスク削減効果」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (1) 現代ポートフォリオ理論 |
| 協会の学習ポイント | 資産間の相関とポートフォリオのリスク削減効果の関係を理解する。 |
相関とリスク削減効果とは
「卵を1つのかごに盛るな」という格言のとおり、複数の資産に分けて投資するとリスクを小さくできます。その効果の大きさを決めるのが、資産どうしのリターンの連動性を表す相関係数です。相関係数は−1から+1の値をとり、+1は完全に同じ方向に動く、0は連動性がない、−1は完全に逆方向に動くことを意味します。
相関係数とポートフォリオのリスク
2資産ポートフォリオの分散には「2×比率×比率×相関係数×標準偏差×標準偏差」の項が含まれるため、相関係数が低いほどポートフォリオの分散は小さくなります。
- 相関係数=+1:ポートフォリオの標準偏差は、個々の標準偏差の加重平均にちょうど等しくなり、リスク削減効果はありません。
- 相関係数<+1:標準偏差は加重平均より小さくなり、リスク削減効果が生じます。
- 相関係数=−1:投資比率をうまく選ぶと、標準偏差をゼロにできます。
期待リターンは相関係数にかかわらず加重平均のままなので、相関の低い資産を組み合わせると「リターンをあまり犠牲にせずにリスクだけを下げる」ことができます。
銘柄数を増やしたときの効果
多数の銘柄に均等に投資すると、各銘柄に固有の値動きは互いに打ち消し合い、銘柄数を増やすほどポートフォリオのリスクは下がっていきます。しかし、ある水準より下には下がりません。景気や金利など、すべての銘柄に共通して影響する要因によるリスク(市場リスク、システマティック・リスク)は、分散投資では消せないからです。分散投資で消せるのは個別銘柄に固有のリスク(非市場リスク、アンシステマティック・リスク)です。
押さえておきたい公式
具体例で確認
① 相関係数を変えて比べる:資産A(期待リターン8%、標準偏差15%)に60%、資産B(期待リターン12%、標準偏差25%)に40%投資します。期待リターンはどの場合も9.6%です。
| 相関係数 | ポートフォリオの標準偏差 |
|---|---|
| +1 | 19.00%(加重平均と同じ) |
| +0.3 | 約15.33% |
| 0 | 約13.45% |
| −1 | 1.00% |
相関係数が−1なら、Aの比率を 25 ÷ (15 + 25) = 62.5%にすると、標準偏差は0になります。
② 銘柄数を増やす:どの銘柄も標準偏差30%(分散0.09)、銘柄間の共分散が0.018で、均等に投資するとします。
- 1銘柄:分散0.09、標準偏差30%
- 10銘柄:0.09 ÷ 10 + 0.9 × 0.018 = 0.0252、標準偏差 約15.87%
- 100銘柄:0.0009 + 0.99 × 0.018 ≒ 0.0187、標準偏差 約13.68%
- 銘柄数を無限に増やしても、分散は0.018(標準偏差 約13.42%)より下がりません。
試験で問われやすいポイント
- 相関係数=+1のときだけリスク削減効果がなく、標準偏差が加重平均に一致すること。
- 相関係数が低いほど効果が大きく、−1なら標準偏差ゼロのポートフォリオをつくれること(比率の計算も含む)。
- 分散投資で期待リターンは下がらず、加重平均のままである点。
- 銘柄数を増やして消せるのは非市場リスクで、市場リスク(平均共分散の部分)は残ること。
- 「相関係数が0なら分散投資の効果はない」といった誤った記述に注意しましょう。
要点まとめ
- 相関係数が1未満なら分散投資でリスクが下がる。
- 相関係数が低いほどリスク削減効果は大きく、−1ならリスクゼロも可能。
- 期待リターンは相関に関係なく加重平均。
- 銘柄数を増やしても市場リスクは消えない。
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
