ひとことで言うと

  • ベータ(β)は、市場全体のリターンが1%変化したときに、銘柄のリターンが平均して何%変化するかを表す市場への感応度です。
  • 定義は市場リターンとの共分散 ÷ 市場リターンの分散で、市場リターンを説明変数にした回帰分析の傾きとして推定します。
  • 市場ポートフォリオのベータは1で、ポートフォリオのベータは各銘柄のベータの加重平均です。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「ベータの意味と推定」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (1) 現代ポートフォリオ理論
協会の学習ポイント ベータの意味と推定方法について理解する。

ベータ(β)とは

ベータは、CAPMで期待リターンを決める唯一のリスク指標であり、分散投資しても消せない市場リスク(システマティック・リスク)の大きさを表します。

ベータの読み方

ベータが1より大きい銘柄は市場より大きく動く傾向があり、景気敏感な銘柄に多く見られます。市場が10%上がれば平均して10%を超えて上がり、下がるときも大きく下がる傾向があります。ベータが1より小さい銘柄は市場より動きが小さく、公益株などのディフェンシブ銘柄が典型です。ベータが0なら市場の動きと連動せず、安全資産のベータは0です。まれにベータがマイナスになる資産もあります。

定義と相関係数との関係

ベータは市場リターンとの共分散を市場の分散で割ったものです。共分散は相関係数×それぞれの標準偏差なので、ベータは「相関係数 × 銘柄の標準偏差 ÷ 市場の標準偏差」とも書けます。つまり、標準偏差が大きくても市場との相関が低ければ、ベータは小さくなります。

推定方法

実務では、過去の一定期間(たとえば過去5年の月次データ)について、銘柄のリターンを縦軸、市場インデックスのリターンを横軸にとって回帰分析(最小二乗法)を行い、その回帰直線の傾きをベータとします。これはマーケット・モデルを推定していることにほかなりません。推定されたベータは、期間やデータの頻度、市場インデックスの選び方によって変わりうる点、過去の値であり将来も同じとは限らない点に注意が必要です。

押さえておきたい公式

βi = Cov(Ri, RM) ÷ σM2 = ρiM × σi ÷ σMベータの定義(ρiMは銘柄と市場の相関係数)
βp = w1β1 + w2β2 + … + wnβnポートフォリオのベータは加重平均

具体例で確認

銘柄Aの標準偏差が30%、市場の標準偏差が20%、両者の相関係数が0.6とします。

  1. 共分散:0.6 × 0.30 × 0.20 = 0.036
  2. ベータ:0.036 ÷ 0.202 = 0.036 ÷ 0.04 = 0.9(ρ × σA ÷ σM = 0.6 × 30 ÷ 20 = 0.9でも同じ)
  3. 標準偏差は市場より大きいのに、ベータは1より小さくなっています。
  4. 銘柄A(β0.9)に70%、ベータ1.5の銘柄Bに30%投資したポートフォリオのベータ:0.7 × 0.9 + 0.3 × 1.5 = 1.08

試験で問われやすいポイント

  • ベータの定義Cov(Ri, RM) ÷ σM2と、相関係数を使った形ρσi ÷ σMの計算がよく問われます。分母は市場の分散(標準偏差ではない)です。
  • 標準偏差が大きい=ベータが大きい、とは限らないという判断問題に注意しましょう。
  • ポートフォリオのベータは加重平均で計算できる(標準偏差とは異なる)点が問われやすいです。
  • 市場ポートフォリオのベータは1、安全資産のベータは0という基本値を押さえましょう。
  • 回帰分析による推定では傾きがベータであり、切片や決定係数と取り違えないようにしましょう。

要点まとめ

  • ベータ=市場リターンに対する感応度(市場リスクの大きさ)
  • β = Cov ÷ σM2 = ρσi ÷ σM
  • 過去データの回帰分析の傾きとして推定する
  • ポートフォリオのベータは加重平均、市場は1、安全資産は0

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。