ひとことで言うと

  • カスタム・ベンチマークとは、既存の市場指数では運用方針に合わない場合に、複数の指数を組み合わせたり、運用者の投資対象から作ったりして独自に構築するベンチマークです。
  • 代表的なものに、資産ごとの指数を配分比率で加重する複合ベンチマーク、スタイル指数を組み合わせる方法、運用者の典型的な投資対象から作る正常ポートフォリオなどがあります。
  • ベンチマークの良し悪しは、ポートフォリオとの連動性や構成の重なり、回転率などで評価します。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「ベンチマークの選択と自作」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (7) 投資パフォーマンスの測定・評価と提示
協会の学習ポイント ベンチマークの評価・選択とカスタム・ベンチマークの構築方法について理解する。

カスタム・ベンチマークとは

ベンチマークは運用方針に合っていることが大切ですが、TOPIXのような広い市場指数が、すべての運用スタイルにぴったり合うとは限りません。複数の資産を組み合わせるバランス型の運用や、特定のスタイルに絞った運用では、既存の指数では物差しとして不十分なことがあります。そうした場合に使われるのがカスタム・ベンチマークです。

ベンチマークの評価・選択の視点

候補となるベンチマークが適切かどうかは、次のような観点で確認します。

  • 連動性:ポートフォリオとの相関が高く、ポートフォリオのベータが1に近いか。トラッキング・エラーが小さいほど物差しとして適している
  • 構成の重なり(カバレッジ):ポートフォリオの保有銘柄のうち、どれだけがベンチマークに含まれているか
  • 回転率:ベンチマーク自体の構成銘柄の入れ替えが少なく、パッシブに再現しやすいか
  • スタイルの整合性:規模やバリュー・グロースといった特徴がポートフォリオと似ているか

カスタム・ベンチマークの作り方

複合ベンチマークは、年金基金の政策アセットミックスのように、資産クラスごとの指数を基本配分比率で加重平均して作ります。バランス型運用や、基金全体の評価によく使われます。

スタイル指数の組み合わせは、運用者のリターンが大型バリュー、小型グロースなどのスタイル指数にどの程度連動しているかを回帰分析などで推定し(リターン・ベースのスタイル分析)、その比率で指数を組み合わせる方法です。

正常ポートフォリオ(ノーマル・ポートフォリオ)は、運用者が通常投資対象とする銘柄群と、その標準的なウエイトからベンチマークを作る方法です。運用者の投資対象を最もよく反映できる反面、作成や維持に手間がかかり、運用者との合意も必要です。

押さえておきたい公式

複合ベンチマークの収益率 = Σ wi × Riwi:資産クラスiの基本配分比率、Ri:資産クラスiの指数の収益率
超過リターン = ポートフォリオの収益率 − ベンチマークの収益率

具体例で確認

ある年金基金の基本配分と、1年間の各指数の収益率が次のとおりだったとします。

  • 国内株式 30%:国内株式指数 +8%
  • 国内債券 50%:国内債券指数 +1%
  • 外国株式 20%:外国株式指数 +12%
  1. 複合ベンチマークの収益率:0.3 × 8 + 0.5 × 1 + 0.2 × 12 = 2.4 + 0.5 + 2.4 = 5.3%
  2. 基金全体の実際の収益率が6.0%なら、超過リターンは 6.0 − 5.3 = +0.7%

この+0.7%は、基本配分からの乖離(資産配分の判断)や、各資産での銘柄選択の成果を合わせたものです。複合ベンチマークを使うことで、基金全体として基本方針どおりに運用した場合と比べて、付加価値があったかを判断できます。

試験で問われやすいポイント

  • 複合ベンチマークの収益率を、基本配分比率で加重平均して計算させる問題に注意しましょう。
  • ベンチマークの評価では、相関が高い・ベータが1に近い・トラッキング・エラーが小さい・構成の重なりが大きい・回転率が低いほど望ましいという方向が問われやすいです。
  • 正常ポートフォリオは運用者の投資対象をよく反映する一方、作成・維持の手間がかかる点を押さえましょう。
  • スタイル指数の組み合わせはリターン・ベースのスタイル分析を利用する点が狙われます。
  • カスタム・ベンチマークでも、事前に特定され投資可能であるといったベンチマークの要件を満たす必要がある点に注意しましょう。

要点まとめ

  • カスタム・ベンチマーク=運用方針に合わせて独自に構築するベンチマーク
  • 複合ベンチマークは資産ごとの指数を基本配分比率で加重平均する
  • スタイル指数の組み合わせや正常ポートフォリオという作り方もある
  • 相関・ベータ・トラッキング・エラー・構成の重なり・回転率でベンチマークを評価する

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。