数理最適化と代表的なモデルとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 数理最適化とは、目的関数を最大化(または最小化)する決定変数の値を、制約条件を満たす範囲で求める手法です。
- 代表的なモデルに、線形計画・整数計画・非線形計画(2次計画を含む)などがあります。
- 平均分散アプローチによるポートフォリオ選択は、2次計画問題の代表例です。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「数理最適化と代表的なモデル」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (9) 最適化手法 |
| 協会の学習ポイント | 数理最適化と代表的な数理最適化モデルについて理解する。 |
数理最適化と代表的なモデルとは
「限られた予算で利益を最大にしたい」「目標リターンを確保しながらリスクを最小にしたい」といった問題は、ビジネスや資産運用のあらゆる場面に出てきます。こうした問題を数式で表し、最もよい答え(最適解)を求めるのが数理最適化です。
最適化問題の3つの要素
数理最適化の問題は、次の3つで表します。1つ目は、自分で決められる量である決定変数(各資産への投資比率、各製品の生産量など)。2つ目は、良し悪しを測る目的関数(期待リターン、利益、リスクなど)で、これを最大化または最小化します。3つ目は、守らなければならない制約条件(投資比率の合計は1、予算の上限、空売り禁止など)です。制約条件をすべて満たす解を実行可能解、その集合を実行可能領域といい、実行可能解のなかで目的関数を最もよくするものが最適解です。
代表的なモデル
目的関数と制約条件がすべて1次式なら線形計画問題、決定変数が整数に限られるなら整数計画問題、目的関数や制約に2次以上の項などの非線形な式を含むなら非線形計画問題です。非線形計画のうち、目的関数が2次式で制約が1次式のものを2次計画問題といいます。
局所最適と大域最適
非線形の問題では、近くの点と比べると最もよい局所最適解が、全体で最もよい大域最適解とは限りません。ただし、目的関数と実行可能領域が凸(凸計画問題)であれば、局所最適解は大域最適解になります。線形計画問題や、平均分散モデルの多くはこの凸計画に含まれるため、扱いやすい問題です。
整理しておきたいポイント
| モデル | 特徴 | ファイナンスでの例 |
|---|---|---|
| 線形計画 | 目的関数・制約がすべて1次式 | 制約付きの資金配分、裁定機会の探索 |
| 整数計画 | 決定変数が整数(0か1など) | 銘柄を採用するかしないかの選択、売買単位の考慮 |
| 2次計画 | 目的関数が2次式、制約は1次式 | 平均分散アプローチによる最小分散ポートフォリオ |
| 一般の非線形計画 | 目的関数や制約に非線形な式を含む | 効用最大化、リスク指標を使った配分 |
具体例で確認
2資産に投資する場合の平均分散アプローチを、最適化問題として書いてみます。
- 決定変数:資産1への投資比率w1、資産2への投資比率w2
- 目的関数:ポートフォリオの分散 w12σ12 + w22σ22 + 2w1w2σ12 を最小化
- 制約条件:w1 + w2 = 1(全額投資)、w1μ1 + w2μ2 = 目標リターン、必要に応じてw1, w2 ≧ 0(空売り禁止)
目的関数が投資比率の2次式、制約が1次式なので、これは2次計画問題です。等式制約だけならラグランジュの未定乗数法で解け、空売り禁止のような不等式制約が加わるとKKT条件などを使って解きます。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「数理最適化と代表的な数理最適化モデルについて理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 目的関数・決定変数・制約条件の3要素と、実行可能解・最適解の意味が問われやすいです。
- 目的関数と制約が1次式か、変数が整数か、2次式を含むかでモデルを分類できるようにしておきましょう。
- 平均分散アプローチは2次計画問題である、という対応がよく使われます。
- 局所最適解と大域最適解の違い、凸計画なら局所最適解が大域最適解になる点を押さえましょう。
- 最大化問題は目的関数に-1を掛ければ最小化問題に変換できる点も確認しておきましょう。
要点まとめ
- 数理最適化=制約のもとで目的関数を最大化・最小化する
- 要素は決定変数・目的関数・制約条件
- 代表的なモデルは線形計画・整数計画・非線形計画(2次計画)
- 平均分散ポートフォリオは2次計画問題の代表例
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
