線形計画問題の定式化とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 線形計画問題(LP)は、目的関数も制約条件もすべて1次式で表される最適化問題です。
- 不等式制約はスラック変数を加えて等式に直し、決定変数を非負とする標準形に整理できます。
- 最適解が存在すれば、実行可能領域(凸多面体)の頂点のどれかに現れます。
この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「線形計画問題の定式化と解法の基礎」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (9) 最適化手法 |
| 協会の学習ポイント | 線形計画問題の標準的定式化と解法の基礎について理解する。 |
線形計画問題の定式化とは
線形計画問題は、数理最適化のなかで最も基本的で広く使われるモデルです。「材料や時間の制約のなかで利益を最大にする生産計画」「予算や投資上限の制約のもとでリターンを最大にする配分」などが典型例です。
定式化の手順
まず、自分で決める量を決定変数(x1、x2、…)とおきます。次に、最大化・最小化したい量を決定変数の1次式で表して目的関数とします。最後に、資源の上限などの条件を1次の等式・不等式で表し、さらに生産量や投資額がマイナスにならないという非負条件を加えます。
標準形とスラック変数
解法を当てはめやすくするため、問題を決まった形(標準形)に書き直します。テキストによって細部の約束事は異なりますが、代表的なのは「非負の変数について、1次の等式制約のもとで1次の目的関数を最大化(または最小化)する」形です。不等式「≦」の制約は、余り分を表す非負のスラック変数を加えて等式に変えます。たとえば x1+x2≦4 は x1+x2+s1=4(s1≧0)になります。最大化と最小化は、目的関数に-1を掛ければ互いに変換できます。
解法の基礎となる性質
1次式の制約で囲まれた実行可能領域は、角のある凸な図形(凸多面体)になります。目的関数も1次式なので、その値が一定になる線(等高線)は平行な直線で、それを良くなる方向へ動かしていくと、最後に領域に触れるのは頂点(または辺全体)です。したがって、最適解があれば頂点のどれかが最適解になります。なお、制約が矛盾して実行可能解がない場合(実行不能)や、目的関数がいくらでも大きくなる場合(非有界)には最適解は存在しません。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| xj | 決定変数 |
| cj | 目的関数の係数(1単位当たりの利益など) |
| aij、bi | 制約条件の係数と右辺(資源の使用量と上限) |
| si | スラック変数(使い残した資源の量) |
具体例で確認
製品A(利益3)と製品B(利益4)を作ります。材料は1個当たりAが1、Bが1で上限4、作業時間は1個当たりAが1、Bが3で上限6です。利益を最大にする生産量x(A)、y(B)を求めます。
- 目的関数:3x + 4y を最大化
- 制約条件:x + y ≦ 4、x + 3y ≦ 6、x ≧ 0、y ≧ 0
- 標準形:x + y + s1 = 4、x + 3y + s2 = 6、x, y, s1, s2 ≧ 0
実行可能領域の頂点で目的関数を比べます。
- (0, 0):0
- (4, 0):12
- (3, 1):9 + 4 = 13(2本の制約の交点)
- (0, 2):8
最適解はx=3、y=1で最大利益13です。このとき両方の制約がちょうど等号で成り立ち、スラック変数はs1=s2=0(資源を使い切っている)です。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「線形計画問題の標準的定式化と代表的な解法について理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 目的関数・制約条件がすべて1次式であることが線形計画問題の条件です。2次の項を含めば線形計画ではない点に注意しましょう。
- 文章題から決定変数・目的関数・制約条件・非負条件を正しく定式化できるかが問われやすいです。
- スラック変数の意味(使い残し)と、不等式を等式に直す役割を押さえましょう。
- 最適解は実行可能領域の頂点に現れるという性質がよく問われます。
- 最適解が存在しないケース(実行不能・非有界)の区別も確認しておきましょう。
要点まとめ
- 線形計画=目的関数・制約がすべて1次式の最適化問題
- 決定変数→目的関数→制約条件→非負条件の順で定式化
- スラック変数で不等式を等式に直して標準形にする
- 最適解は実行可能領域の頂点に現れる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
