ひとことで言うと

  • ラグランジュの未定乗数法は、等式制約のある最適化問題を解く方法です。
  • 目的関数から「λ×制約」を引いたラグランジュ関数をつくり、各変数とλで偏微分して0とおいた連立方程式を解きます。
  • λ(ラグランジュ乗数)は、制約を1単位ゆるめたときに最適値がどれだけ変わるか(シャドウプライス)を表します。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「ラグランジュの未定乗数法」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (9) 最適化手法
協会の学習ポイント ラグランジュの未定乗数法による解法について理解する。

ラグランジュの未定乗数法とは

「投資比率の合計は1」「予算はちょうど100」のように、変数が等式の制約を満たさなければならない最適化問題はよく出てきます。制約式を1つの変数について解いて代入できる場合もありますが、変数や制約が多いと代入は大変です。そこで使われるのがラグランジュの未定乗数法です。

解き方の手順

目的関数f(x, y)を、制約g(x, y)=cのもとで最大化(または最小化)するとします。まず、新しい変数λ(ラグランジュ乗数)を導入し、ラグランジュ関数 L=f(x, y)-λ{g(x, y)-c} をつくります。次に、Lをx、y、λのそれぞれで偏微分して0とおきます。λで偏微分した式は、もとの制約g(x, y)=cそのものになります。この連立方程式を解いて得られる点が、最適解の候補です。

図形的な意味

最適点では、目的関数の等高線と制約の曲線がちょうど接しています。接している点では両者の勾配(法線の向き)が平行なので、∇f=λ∇gが成り立ちます。これが「偏微分=0」の条件の中身です。

λの意味

λは単なる計算上の補助変数ではなく、制約の右辺cを1単位増やしたときに、目的関数の最適値がどれだけ増えるかを表します(dF*/dc=λ)。経済学では、制約となっている資源の限界的な価値としてシャドウプライス(潜在価格)と呼ばれます。なお、この方法で得られるのは候補点であり、最大か最小かは問題の性質(目的関数の凸性など)で確認します。

押さえておきたい公式

L(x, y, λ) = f(x, y) - λ{g(x, y) - c}ラグランジュ関数(符号を+にする流儀もあり、その場合λの符号が逆になる)
∂L/∂x = 0、∂L/∂y = 0、∂L/∂λ = 0最後の式はもとの制約g(x, y)=cに一致する
∇f = λ∇g  dF*/dc = λ最適点で勾配が平行。λは制約を1単位ゆるめたときの最適値の変化

具体例で確認

例1:基本問題

x + y = 10 のもとで、f = xy を最大化します。

  1. L = xy - λ(x + y - 10)
  2. ∂L/∂x = y - λ = 0、∂L/∂y = x - λ = 0、∂L/∂λ = -(x + y - 10) = 0
  3. x = y = λ、x + y = 10 より、x = y = 5、λ = 5、最大値25

λの意味を確認します。制約の右辺をcとすると最適値はc2/4で、cで微分するとc/2です。c=10では5となり、λ=5と一致します。右辺を10から11にすると、最適値は約5増える(実際には30.25で5.25増える)ということです。

例2:ポートフォリオへの応用

最小分散ポートフォリオは、「投資比率の合計=1」という等式制約のもとで分散を最小化する問題です。資産数が多い場合も、ラグランジュ関数を投資比率とλで偏微分して0とおけば、連立1次方程式として解けます。目標リターンの制約を加えると、効率的フロンティア上のポートフォリオが求められます。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「ラグランジュの未定乗数法による解法について理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • ラグランジュ関数のつくり方と、各変数およびλで偏微分して0とおく手順が問われやすいです。
  • λで偏微分した式はもとの制約式に戻ることを押さえましょう。
  • λは制約を1単位ゆるめたときの最適値の変化(シャドウプライス)という解釈がよく問われます。
  • この方法が直接扱うのは等式制約であり、不等式制約にはKKT条件を使う、という区別に注意しましょう。
  • 得られる点は候補であり、最大か最小かは別途確認が必要な点もひっかけになりえます。

要点まとめ

  • 等式制約付き最適化はラグランジュ関数L=f-λ(g-c)で解く
  • 各変数とλで偏微分して0とおき、連立方程式を解く
  • 最適点では目的関数と制約の勾配が平行(∇f=λ∇g)
  • λは制約の右辺を1単位増やしたときの最適値の増分

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。