ひとことで言うと

  • 累積分布関数F(x)=P(X ≦ x)がわかれば、区間に入る確率はF(b)−F(a)という引き算で求められます。
  • ある値を超える確率は1−F(a)、確率が指定された値になる点(分位点)はF(x)=その確率を解いて求めます。
  • 連続型では1点の確率が0なので、「以下」と「未満」の違いを気にする必要はありません。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「累積分布関数からの確率計算」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (5) 確率分布
協会の学習ポイント 累積分布関数から確率を計算する方法について理解する。

累積分布関数による確率計算とは

連続型確率変数の確率は、確率密度関数のグラフの下の面積です。面積を毎回積分で計算するのは大変ですが、累積分布関数F(x)(x以下の面積)がわかっていれば、積分をしなくても引き算だけで確率を求められます。

区間の確率

Xがaからbの間に入る確率は、「b以下の面積」から「a以下の面積」を取り除いた部分なので、F(b)−F(a)です。連続型では1点の確率が0なので、P(a < X ≦ b)もP(a ≦ X ≦ b)もP(a < X < b)も同じ値になります。

上側の確率

Xがaを超える確率は、全体の面積1からa以下の面積を引いた1−F(a)です。「損失が一定額を超える確率」のように、分布の裾(テール)の確率を知りたい場面でよく使います。

分位点(パーセンタイル)

逆に、確率を先に決めて「F(x)=0.05となるx」を求めることもできます。これを下側5%点(5パーセンタイル)といい、F(x)=0.5となるxは中央値です。VaR(バリュー・アット・リスク)のように、「一定の確率で起こりうる損失の大きさ」を考えるときの基礎になります。

標準正規分布表は、標準正規分布の累積分布関数(またはその一部)の値を一覧にしたものです。表を使った確率計算も、ここで学ぶ「累積分布の差をとる」考え方そのものです。

押さえておきたい公式

P(a < X ≦ b) = F(b) − F(a)連続型では等号の有無は結果に影響しない
P(X > a) = 1 − F(a)上側(右側)の確率
F(xα) = αxαは下側100α%点。F(x) = 0.5 となるxが中央値

具体例で確認

確率変数Xが0から1の値をとり、累積分布関数がF(x)=x2(0≦x≦1)であるとします(確率密度関数はf(x)=2x)。

  • 0.5を超え0.8以下になる確率:F(0.8)−F(0.5)=0.64−0.25=0.39
  • 0.9を超える確率:1−F(0.9)=1−0.81=0.19
  • 中央値:x2=0.5より、x=√0.5≒0.707
  • 下側5%点:x2=0.05より、x=√0.05≒0.224

標準正規分布Zでも同じです。累積分布関数の値Φ(1)≒0.8413を使うと、左右対称なのでΦ(−1)≒0.1587となり、P(−1 < Z ≦ 1)=0.8413−0.1587≒0.683です。またP(Z > 1.645)=1−Φ(1.645)≒0.05となります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「連続型確率変数・確率密度関数・累積分布関数を理解し、累積分布関数から確率を計算する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 区間の確率F(b)−F(a)と、上側確率1−F(a)の使い分け。
  • 連続型では「以下」「未満」で答えが変わらないこと(離散型との違い)。
  • F(x)=αを解いて分位点や中央値を求める逆算。
  • 標準正規分布の対称性(Φ(−z)=1−Φ(z))を使った計算。

要点まとめ

  • 区間の確率は累積分布関数の差F(b)−F(a)で求める。
  • 上側の確率は1−F(a)。
  • F(x)=αを解けば分位点が求まり、α=0.5なら中央値。
  • 標準正規分布表の計算も同じ考え方。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。