ひとことで言うと

  • カバー付き金利平価(CIP)は、先渡為替で為替リスクをヘッジすると、どちらの通貨で運用しても同じ収益になるように先渡レートが決まるという関係です。
  • カバーなし金利平価(UIP)は、ヘッジをしない場合に、2国の金利差が予想される為替レートの変化で打ち消されるという関係です。
  • どちらも「金利の高い通貨は、将来(先渡・予想)で減価する」という方向になります。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「UIPとCIPの計算」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (8) 国際資本移動と外国為替市場
協会の学習ポイント カバーなし金利平価(UIP)とカバー付き金利平価(CIP)の計算ができる。

金利平価(UIP・CIP)とは

日本の投資家が1年間資金を運用するとき、円で運用する方法と、円をドルに替えてドルで運用し、1年後に円に戻す方法があります。資本移動が自由なら、どちらかが明らかに有利な状態は長続きせず、2つの運用の収益が等しくなるように為替レートが調整されると考えられます。これが金利平価の考え方です。

カバー付き金利平価(CIP)

ドル運用の際に、1年後にドルを円に戻すレートを今の時点で先渡契約で決めておけば、為替リスクはなくなります(カバーする)。リスクのない2つの運用の収益が異なれば、確実に利益が出る裁定取引が可能になるため、先渡レートは両者の収益が等しくなる水準に決まります。CIPは裁定によって支えられるため、現実の市場でもおおむね成立しやすい関係です。

カバーなし金利平価(UIP)

先渡契約を使わず、1年後の直物レートで円に戻す場合、その時点のレートは不確実です。投資家がリスク中立的であれば、予想される1年後の直物レートのもとで2つの運用の期待収益が等しくなる、と考えるのがUIPです。UIPは予想にもとづく関係で、裁定では保証されないため、現実には成り立たないことも多いとされます。

金利差と為替の方向

どちらの関係でも、金利の高い通貨は、先渡レートや予想レートでは直物より安くなります。高い金利で得をする分を、為替の減価で相殺するためです。

押さえておきたい公式

F = S × (1 + i) ÷ (1 + i*)カバー付き金利平価(CIP)
E(S1) = S × (1 + i) ÷ (1 + i*)カバーなし金利平価(UIP)
(F − S) ÷ S ≒ i − i*近似式:先渡プレミアム率(予想変化率)は金利差にほぼ等しい
記号 意味
S 直物為替レート(1ドル当たり円)
F 先渡為替レート(1ドル当たり円)
E(S1) 1期後の直物レートの予想値
i、i* 円金利、ドル金利(期間に対応する金利)

具体例で確認

直物レートが1ドル=150円、1年物の円金利が0.5%、ドル金利が4.5%とします。

  1. CIPによる1年物先渡レート:150 × 1.005 ÷ 1.045≒144.26円(直物から約3.83%のドル安)
  2. UIPが成り立つなら、1年後の予想直物レートも同じく約144.26円です。近似式では150 × (1 + 0.005 − 0.045)=144円となります。

先渡レートがずれていたら(裁定取引)

実際の1年物先渡レートが146円だったとします。1億5,000万円を1年間運用する2つの方法を比べます。

  1. 円で運用:1億5,000万円 × 1.005=1億5,075万円
  2. ドルで運用(先渡でカバー):1億5,000万円 ÷ 150=100万ドル、× 1.045=104.5万ドル、× 146=1億5,257万円

円金利で借りてドルで運用し先渡で円に戻せば、差額の182万円をリスクなしで得られます。こうした取引が集中すると先渡のドル売りが増えて先渡レートが下がり、CIPが成り立つ水準(約144.26円)に近づきます。

試験で問われやすいポイント

  • 直物レートと2国の金利から先渡レート(CIP)や予想為替レート(UIP)を計算させる問題が典型です。
  • 円/ドル表示では、分子に円金利、分母にドル金利が来ます。通貨の表示方法と金利の位置を取り違えないよう注意しましょう。
  • 金利の高い通貨は先渡ディスカウント(予想では減価)という方向が問われやすいです。
  • CIPは先渡レート(裁定で成立)、UIPは予想レート(期待にもとづく)という違いを押さえましょう。
  • 先渡レートがCIPからずれている場合に、どちらの通貨で借りてどちらで運用すれば裁定利益が出るかも確認しておきましょう。

要点まとめ

  • CIP:F=S×(1+i)÷(1+i*)、先渡でヘッジした運用の収益が等しくなる
  • UIP:予想直物レートで同じ式が成り立つ(リスク中立を仮定)
  • 金利の高い通貨は先渡・予想レートで減価する
  • CIPは裁定で支えられ、UIPは現実には成り立たないことも多い

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。