ひとことで言うと

  • パッシブ運用はベンチマーク(市場インデックス)への連動を目指し、アクティブ運用はベンチマークを上回るリターンを目指す運用です。
  • パッシブは低コスト・低トラッキングエラー、アクティブは超過収益の可能性がある一方で報酬が高く、アクティブ・リスクを伴います。
  • アクティブ運用の実力は「予測の精度(IC)」と「独立した判断の回数(ブレス)」で決まる、というのがアクティブ運用の基本法則です。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「パッシブ運用とアクティブ運用」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (3) ポートフォリオの構築とリスク管理
協会の学習ポイント パッシブ運用とアクティブ運用の特徴と投資管理プロセスへの適用について理解する。

パッシブ運用とアクティブ運用とは

資産クラスの中身をどう運用するかには、大きく2つの考え方があります。市場は十分に効率的で、継続的に市場を上回るのは難しいと考えれば、低コストで市場全体を保有するパッシブ運用が合理的です。一方、市場には非効率な部分があり、分析によって割安な銘柄を見つけられると考えれば、ベンチマークを上回ることを狙うアクティブ運用を選びます。

パッシブ運用の手法

  • 完全法(完全複製法):指数の全構成銘柄を指数と同じウェイトで保有します。連動性は高いものの、銘柄数が多いと売買コストや管理の手間が増えます。
  • 層化抽出法(サンプリング法):業種や規模などで銘柄をグループ分けし、各グループから代表的な銘柄を選んで保有します。
  • 最適化法:ファクター・モデルなどを使い、少ない銘柄数でトラッキングエラーが最小になる組み合わせを求めます。

銘柄数を減らすほどコストは下がりますが、トラッキングエラーは大きくなりやすいというトレードオフがあります。

アクティブ運用の考え方

アクティブ運用では、銘柄選択、業種配分、スタイルやファクターの傾斜、売買タイミングなどで超過収益を狙います。成果はアクティブ・リターン(ポートフォリオ−ベンチマーク)とトラッキングエラーで測り、両者の比であるインフォメーション・レシオ(IR)が運用能力の指標になります。アクティブ運用の報酬や売買コストはパッシブより高いため、評価は報酬控除後で行うことが重要です。

投資管理プロセスへの適用

投資家は、市場の効率性(大型株のように情報が行き渡った市場か、小型株や新興国のように非効率が残りやすい市場か)、コスト、アクティブ・リスクの許容度、優れたマネジャーを選べるかどうかを考えて、両者を使い分けます。効率的な市場の中核部分はパッシブ、非効率性が期待できる部分はアクティブにする、コア・サテライトのような組み合わせも一般的です。

押さえておきたい公式

IR = アクティブ・リターン ÷ トラッキングエラー
IR ≒ IC × √BRアクティブ運用の基本法則。IC:情報係数(予測と実現値の相関)、BR:ブレス(1年あたりの独立した投資判断の数)

具体例で確認

  • マネジャーA:IC=0.05、年間に100の独立した判断 → IR≒0.05×√100=0.5
  • マネジャーB:IC=0.10、年間に25の独立した判断 → IR≒0.10×√25=0.5

予測精度が半分でも、判断の回数が4倍あれば同じIRになります。ただし、判断が互いに独立でなければ(同じ理由で似た銘柄を買っているなど)、実質的なブレスは小さくなります。

また、あるアクティブ・ファンドの報酬控除前のアクティブ・リターンが年1.5%、報酬が年0.6%、トラッキングエラーが3%なら、報酬控除後のIRは(1.5−0.6)÷3=0.3です。報酬控除前の0.5と比べると、コストの影響の大きさがわかります。

試験で問われやすいポイント

  • パッシブ運用とアクティブ運用の前提(市場の効率性)と、コスト・リスク・期待リターンの違い。
  • パッシブ運用の手法(完全法・層化抽出法・最適化法)と、コストとトラッキングエラーのトレードオフ。
  • IRの計算と、アクティブ運用の基本法則(IR≒IC×√BR)の意味。ブレスは「独立した」判断の数である点。
  • 報酬控除後で評価すること、市場の効率性に応じた使い分け。
  • 2次の記述式では、IRを計算過程とともに求めさせたり、ある市場でパッシブ・アクティブのどちらが適切かを説明させたりする形が考えられます。

要点まとめ

  • パッシブはベンチマークへの連動、アクティブはベンチマーク超過を目指す。
  • パッシブの手法は完全法・層化抽出法・最適化法。
  • アクティブの実力はIRで測り、IR≒IC×√BRで表される。
  • 市場の効率性、コスト、リスク許容度に応じて使い分ける。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。