外部性と死荷重とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 外部性とは、ある経済主体の活動が、市場での取引を通さずに他者に影響を与えることです。公害は代表的な負の外部性です。
- 負の外部性があると、市場は社会的に望ましい量より過大に生産し、社会全体の余剰が減ります。この減少分が死荷重(厚生損失)です。
- 外部費用と同額の税(ピグー税)を課すと、外部性が内部化され、効率的な取引量が実現します。
この記事では、証券アナリスト2次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「市場の限界と外部性」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/経済 |
|---|---|
| 大分類 | (9) 産業政策と市場規制 |
| 協会の学習ポイント | 市場メカニズムの限界と外部性について説明できる。また、余剰など外部性の影響の計算ができる。 |
外部性と死荷重とは
完全競争市場では、需要と供給が一致する点で取引すると、消費者余剰と生産者余剰の合計(総余剰)が最大になります。これが「市場メカニズムは効率的な資源配分を実現する」という考え方です。しかし、この結論には前提があり、前提が崩れると市場はうまく働きません。これを市場の失敗といい、外部性、公共財、独占などの不完全競争、情報の非対称性などが代表例です。
外部性のうち、工場の排煙による健康被害のように他者に損害を与えるものを負の外部性(外部不経済)、ワクチン接種や研究開発のように他者にも便益が及ぶものを正の外部性(外部経済)といいます。負の外部性がある場合、生産者は自分が負担する私的限界費用(PMC)だけを見て生産量を決めますが、社会全体では、それに第三者が負う外部限界費用(EMC)を加えた社会的限界費用(SMC)がかかっています。
その結果、市場均衡では「社会的限界費用 > 需要者の限界便益」となる分まで生産されてしまい、過剰生産になります。逆に正の外部性がある場合は、社会的な便益が私的な便益より大きいのに考慮されないため、過少生産になります。
対策としては、外部限界費用に等しい税を課すピグー税(正の外部性なら補助金)、直接的な数量規制、排出量取引などがあります。また、財産権が明確で交渉費用が小さければ、当事者どうしの交渉で効率的な結果が実現するというコースの定理もあわせて押さえておきましょう。
押さえておきたい公式
具体例で確認
需要曲線を P = 100 − Q、私的限界費用(供給曲線)を P = 20 + Q とし、1単位あたり20の外部費用(公害)が発生するとします。
- 市場均衡:100 − Q = 20 + Q より Q = 40、P = 60。
- 社会的最適:SMC は P = 40 + Q。100 − Q = 40 + Q より Q = 30、P = 70。
- 市場均衡での総余剰:消費者余剰 1/2 × 40 × 40 = 800、生産者余剰 800、外部費用 20 × 40 = 800 なので、総余剰は 800 + 800 − 800 = 800。
- ピグー税20を課した場合:取引量30、消費者の支払価格70、生産者の受取価格50。消費者余剰450、生産者余剰450、税収600、外部費用600で、総余剰は900。
- 死荷重:900 − 800 = 100。図では、Q = 30〜40 の区間でSMCと需要曲線に挟まれた三角形 1/2 × 10 × 20 = 100 に当たります。
試験で問われやすいポイント
- 負の外部性は過剰生産、正の外部性は過少生産になる、という方向の判断。
- 私的限界費用・外部限界費用・社会的限界費用の関係と、社会的最適点が「需要 = SMC」で決まること。
- 余剰計算では、外部費用を差し引くこと、税収を総余剰に含めることを忘れやすいので注意しましょう。
- ピグー税の水準は「最適量における外部限界費用」であることや、コースの定理が成り立つ条件(財産権の明確化、交渉費用が小さいこと)。
- 記述式では、均衡量・最適量・死荷重の計算過程を示させたり、市場の失敗の理由を説明させたりする形が考えられます。
要点まとめ
- 外部性は、市場を通さずに他者に影響を与えることで、市場の失敗の代表例。
- 負の外部性では SMC = PMC + EMC となり、市場均衡は過剰生産になる。
- 社会的最適は需要とSMCの交点で決まり、市場均衡との差が死荷重を生む。
- ピグー税や数量規制、排出量取引、当事者の交渉(コースの定理)で外部性を是正できる。
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
