ひとことで言うと

  • 平均・分散アプローチは、投資の良し悪しを「期待リターン(平均)」と「リスク(分散・標準偏差)」の2つだけで評価する方法です。マーコウィッツが提唱しました。
  • 効用関数が2次関数である場合や、リターンが正規分布に従う場合には、期待効用最大化と同じ結論になります。
  • 同じリスクなら期待リターンが高いほう、同じ期待リターンならリスクが低いほうを選びます(優越原理)。

この記事では、証券アナリスト1次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「平均・分散アプローチと効用」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (1) 現代ポートフォリオ理論
協会の学習ポイント 平均・分散アプローチと効用関数の関係について理解する。

平均・分散アプローチとは

期待効用最大化原理に従うには、本来はリターンの分布全体と効用関数の形を知る必要があります。しかし、それでは分析が複雑になりすぎます。そこでマーコウィッツは、投資の評価を期待リターン(平均)分散(または標準偏差)の2つの指標に絞る平均・分散アプローチを提唱しました。これが現代ポートフォリオ理論の出発点です。

期待効用最大化と一致する条件

平均と分散だけで判断してよいのは、期待効用がこの2つだけで決まる場合です。代表的な条件は次の2つです。

  • 投資家の効用関数が2次関数である場合:期待効用が平均と分散だけの式で表せます。
  • リターンが正規分布に従う場合:正規分布は平均と分散だけで形が決まるため、どんな効用関数でも平均と分散で判断できます。

現実のリターンは正規分布から外れる(大きな下落が起きやすいなど)こともあるため、平均・分散アプローチはあくまで近似であることも知っておきましょう。

優越原理と無差別曲線

リスク回避的な投資家は、期待リターンが同じならリスクの小さいほうを、リスクが同じなら期待リターンの大きいほうを選びます。これを優越原理(平均・分散基準)といいます。

また、同じ効用をもたらす期待リターンと標準偏差の組み合わせを結んだ線を無差別曲線といいます。縦軸に期待リターン、横軸に標準偏差をとると、リスク回避的な投資家の無差別曲線は右上がりで下に膨らんだ形になり、左上にある曲線ほど効用が高くなります。リスク回避度が高い投資家ほど、無差別曲線の傾きは急になります。

押さえておきたい公式

U = E(R) − ½ × A × σ2平均・分散の効用(確実性等価リターン)。Aはリスク回避度。この値が大きいポートフォリオを選ぶ
E(R) = U + ½ × A × σ2効用Uを一定としたときの無差別曲線(σが大きくなるほど必要な期待リターンが増える)
記号 意味
E(R) 期待リターン(平均)
σ2 リターンの分散(σは標準偏差)
A リスク回避度

具体例で確認

次の3つのポートフォリオを考えます。

ポートフォリオ 期待リターン 標準偏差
X 8% 15%
Y 12% 25%
Z 7% 20%

優越原理:ZはXより期待リターンが低く、リスクが高いので、どのリスク回避的投資家も選びません(XがZに優越)。XとYはどちらが良いか優越原理だけでは決まりません。

効用で比べる(U = E(R) − ½Aσ2):

  • A = 4 の投資家:X = 0.08 − 2 × 0.0225 = 0.035、Y = 0.12 − 2 × 0.0625 = −0.005 → Xを選ぶ
  • A = 1 の投資家:X = 0.08 − 0.5 × 0.0225 ≒ 0.0688、Y = 0.12 − 0.5 × 0.0625 ≒ 0.0888 → Yを選ぶ

同じ選択肢でも、リスク回避度によって選ばれるポートフォリオが変わることがわかります。

試験で問われやすいポイント

  • 平均・分散アプローチが期待効用最大化と整合する条件(2次効用関数、または正規分布)。
  • 優越原理で除外できるポートフォリオを見分ける問題。
  • 無差別曲線の形(右上がり・下に膨らむ)と、左上ほど効用が高いこと、リスク回避度が高いほど傾きが急になること。
  • 効用の式では標準偏差ではなく分散を使うこと。
  • 優越原理だけでは選べない組み合わせは、投資家のリスク回避度で選択が分かれること。

要点まとめ

  • 平均・分散アプローチは期待リターンと分散の2つで投資を評価する。
  • 2次効用関数か正規分布なら期待効用最大化と整合する。
  • 優越原理で劣ったポートフォリオを除外できる。
  • 最終的な選択は無差別曲線(リスク回避度)で決まる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。