ひとことで言うと

  • キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)とは、仕入代金を支払ってから、販売代金を回収するまでにかかる日数のことです。
  • 計算式は CCC = 売上債権回転日数 + 棚卸資産回転日数 - 仕入債務回転日数です。
  • CCCが短いほど運転資本に寝かせる資金が少なく、資金効率が良いと評価されます。

この記事では、証券アナリスト1次「コーポレート・ファイナンス」の学習ポイントのひとつ「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/コーポレート・ファイナンス
大分類 (9) 企業のリスク管理と運転資本管理
協会の学習ポイント キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の概念・計算方法と利用について理解する。

キャッシュ・コンバージョン・サイクルとは

企業の営業活動は、「仕入れる → 在庫として保有する → 販売する → 代金を回収する」という流れで進みます。仕入れた商品が売れるまでの日数が棚卸資産回転日数、販売してから代金を回収するまでの日数が売上債権回転日数です。一方で、仕入代金は掛けで後払いにできるため、その支払いまでの日数が仕入債務回転日数です。

仕入から回収までにかかる日数(在庫日数+回収日数)から、支払いを待ってもらえる日数を差し引いたものがCCCです。つまりCCCは、企業が自前の資金を立て替えている期間を表しています。この期間が長いほど、多くの運転資本が必要になります。

CCCの利用

CCCは運転資本の効率を1つの日数で示せるため、同業他社との比較や、時系列での改善状況の確認に使われます。CCCを短縮できれば運転資本が減り、その分のキャッシュが生まれます。在庫管理の改善、回収条件の見直し、支払条件の交渉などの施策の効果を測る指標としても有用です。

CCCがマイナスになる企業もある

小売業などで、代金を現金ですぐに受け取り、在庫の回転が速く、仕入代金の支払いは後払いにできる企業では、CCCがマイナスになることがあります。これは、仕入先への支払いより先に顧客から代金が入ってくる状態で、事業が拡大するほど手元資金が増えやすい構造です。

計算上の注意

回転日数の計算に使う基準(売上高か売上原価か、期末残高か期中平均か、1年を365日とするか)は、教科書や問題によって異なります。棚卸資産と仕入債務は売上原価を基準にすることが多いですが、試験では問題文で示された定義に従うことが大切です。

押さえておきたい公式

CCC = 売上債権回転日数 + 棚卸資産回転日数 − 仕入債務回転日数仕入代金の支払いから販売代金の回収までの日数
売上債権回転日数 = 売上債権 ÷ (売上高 ÷ 365)販売から代金回収までの日数
棚卸資産回転日数 = 棚卸資産 ÷ (売上原価 ÷ 365)仕入から販売までの日数(売上高を基準にする場合もある)
仕入債務回転日数 = 仕入債務 ÷ (売上原価 ÷ 365)仕入から代金支払いまでの日数(売上高を基準にする場合もある)

具体例で確認

年間売上高3,650百万円、売上原価2,555百万円、売上債権500百万円、棚卸資産280百万円、仕入債務210百万円の企業を考えます。1日当たり売上高は10、1日当たり売上原価は7です。

  1. 売上債権回転日数:500 ÷ 10 = 50日
  2. 棚卸資産回転日数:280 ÷ 7 = 40日
  3. 仕入債務回転日数:210 ÷ 7 = 30日
  4. CCC:50 + 40 − 30 = 60日

在庫管理を改善して棚卸資産回転日数を40日から30日に短縮すると、CCCは50日になり、棚卸資産は7 × 30 = 210に減ります。この差額の70百万円の現金が運転資本から解放されます。

試験で問われやすいポイント

  • CCCの式で、仕入債務回転日数は足すのではなく引く点が典型的なひっかけです。
  • 各回転日数の計算(残高 ÷ 1日当たり売上高または売上原価)と、問題文で指定された基準に従うことが大切です。
  • CCCが短いほど資金効率が良いこと、回収の早期化・在庫圧縮・支払いの延長でCCCが短くなるという方向が問われやすいです。
  • CCCの短縮日数から、解放される運転資本(キャッシュ)の額を計算する問題にも慣れておきましょう。
  • CCCがマイナスになりうる業態があることと、その意味も確認しておきましょう。

要点まとめ

  • CCCは仕入代金の支払いから販売代金の回収までの日数
  • CCC=売上債権回転日数+棚卸資産回転日数-仕入債務回転日数
  • CCCが短いほど運転資本が少なく、資金効率が良い
  • 回転日数の計算基準は問題文の定義に従う

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。