【証券アナリスト2次】ポートフォリオ・マネジメントとは?要するに何を学ぶのかを学習ポイントに沿って解説
証券アナリスト(CMA)2次試験で出題される「ポートフォリオ・マネジメント」。1次で学んだ現代ポートフォリオ理論の上に、年金の資産配分、VaR、為替ヘッジ、行動ファイナンス、オルタナティブ投資まで範囲が一気に広がり、「結局この分野で何ができるようになればいいの?」と感じる方も多いはずです。
この記事では、日本証券アナリスト協会が公表している「主要学習事項と学習ポイント」に沿って、2次のポートフォリオ・マネジメントで要するに何を学ぶのかを、学習ポイントを1つずつかみくだいて解説します。
ポートフォリオ・マネジメントで学ぶこと
- 資産配分を決めて運営する方法:年金・金融機関・個人など投資家ごとの目的と制約から、アセット・アロケーションを作り、リバランスで維持する
- リスクを測って管理する方法:トラッキングエラー、VaR、ストレス・テスト、為替ヘッジなどでポートフォリオのリスクをコントロールする
- 運用成果の評価と投資家行動の理解:パフォーマンス評価・GIPS基準、行動ファイナンス、オルタナティブ投資の特徴を押さえる
ポートフォリオ・マネジメントの基本情報
| 試験科目 | 2次「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」(株式・債券・デリバティブ・ポートフォリオ・マネジメント) |
|---|---|
| 試験での出題 | 午前・午後の総合試験の中で出題(記述式) |
| 学習ポイント数 | 100項目(大分類9つ) |
| 1次とのつながり | 1次では(1)現代ポートフォリオ理論、(2)投資政策とアセット・アロケーション、(4)機関投資家の資産運用、(5)個人投資家の資産運用、(7)投資パフォーマンスの測定・評価と提示の基礎を学びます。2次ではこれらをより実務的に深めるとともに、(3)リスク管理、(6)国際証券投資と為替管理、(8)行動ファイナンス、(9)オルタナティブ投資が加わります |
全体像:9つの大分類
| 大分類 | ひとことで言うと |
|---|---|
| (1) 現代ポートフォリオ理論 | アクティブ・リスクやファクター・モデルを使って、ベンチマークとのズレを管理する |
| (2) 投資政策とアセット・アロケーション | 資産配分をどう決め、どう見直し、どう維持するかという運用の設計図づくり |
| (3) ポートフォリオの構築とリスク管理 | VaRやストレス・テストなどでリスクを数字にし、リスク予算の中で運用する |
| (4) 機関投資家の資産運用 | 年金・銀行・保険会社など、投資家の種類ごとの目的・制約・リスク管理を知る |
| (5) 個人投資家の資産運用 | 人的資本やライフサイクル、税制を踏まえた個人の資産形成と取崩しを考える |
| (6) 国際証券投資と為替管理、資産配分 | 海外投資で生じる為替リスクをどう配分し、どうヘッジするかを学ぶ |
| (7) 投資パフォーマンスの測定・評価と提示 | 運用成果の要因を分解し、リスク調整後で評価し、GIPS基準に沿って提示する |
| (8) 行動ファイナンスの意義と応用 | 人は必ずしも合理的に判断しない――プロスペクト理論などで投資家行動と市場を説明する |
| (9) オルタナティブ投資資産の種類、特徴と投資管理 | 不動産・PE・ヘッジファンド・コモディティの特徴、評価方法、リスクを押さえる |
各大分類の表にある学習ポイント名をクリックすると、用語解説の記事で意味と試験で問われやすいポイントを確認できます。
参考:1次も含めた大分類の全体像
協会の「主要学習事項と学習ポイント」では、1次と2次で大分類に同じ通し番号を使っています。2次のポートフォリオ・マネジメントは1次と同じ大分類を深掘りしつつ、新しい大分類が加わります。全体の流れを参考に確認しておきましょう。
| 大分類 | 扱う試験 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| (1) 現代ポートフォリオ理論 | 1次・2次 | アクティブ・リスクやファクター・モデルを使って、ベンチマークとのズレを管理する |
| (2) 投資政策とアセット・アロケーション | 1次・2次 | 資産配分をどう決め、どう見直し、どう維持するかという運用の設計図づくり |
| (3) ポートフォリオの構築とリスク管理 | 2次のみ | VaRやストレス・テストなどでリスクを数字にし、リスク予算の中で運用する |
| (4) 機関投資家の資産運用 | 1次・2次 | 年金・銀行・保険会社など、投資家の種類ごとの目的・制約・リスク管理を知る |
| (5) 個人投資家の資産運用 | 1次・2次 | 人的資本やライフサイクル、税制を踏まえた個人の資産形成と取崩しを考える |
| (6) 国際証券投資と為替管理、資産配分 | 2次のみ | 海外投資で生じる為替リスクをどう配分し、どうヘッジするかを学ぶ |
| (7) 投資パフォーマンスの測定・評価と提示 | 1次・2次 | 運用成果の要因を分解し、リスク調整後で評価し、GIPS基準に沿って提示する |
| (8) 行動ファイナンスの意義と応用 | 2次のみ | 人は必ずしも合理的に判断しない――プロスペクト理論などで投資家行動と市場を説明する |
| (9) オルタナティブ投資資産の種類、特徴と投資管理 | 2次のみ | 不動産・PE・ヘッジファンド・コモディティの特徴、評価方法、リスクを押さえる |
1次で学ぶ内容は【証券アナリスト1次】ポートフォリオ・マネジメントの記事で学習ポイントごとに解説しています。
(1) 現代ポートフォリオ理論
ポイント:1次で学んだ平均・分散やCAPMの続きです。2次では「ベンチマークに対してどれだけズレているか(アクティブ・リスク)」と、複数のファクターでリスクをとらえる方法に焦点が移ります。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| トラッキングエラーとIR | ベンチマークとのリターン差の標準偏差がトラッキングエラー。IR=アクティブ・リターン÷トラッキングエラーで、ズレ1単位あたりの超過収益を測る |
| マルチファクターでのリスク管理 | 市場・規模(SMB)・割安度(HML)の3ファクター、モメンタムを加えた4ファクターで、ポートフォリオがどのリスクに傾いているかを把握する |
(2) 投資政策とアセット・アロケーション
ポイント:運用成果を大きく左右する「資産配分」を、どう決めて、どう見直し、どう維持するかを学びます。年金の負債を意識したLDI、Black=Littermanモデル、リスク・パリティ、リバランス、CPPIなど、実務の手法が数多く登場します。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 資産配分の意義と制約要因 | 資産配分が運用成果の大部分を決めるという考え方と、流動性・投資期間・法令などの制約をふまえて配分を決めること |
| 主要資産クラスの特性 | 国内外の株式・債券などの資産クラスごとの期待リターン、リスク、相関の特徴をつかむ |
| DB年金の投資政策と制約 | 確定給付企業年金は将来の給付(負債)を約束しているため、その支払いを意識した投資政策と運用上の制約がある |
| 負債に基づく配分とLDI | 年金負債を現在価値で評価し、金利変動に対する負債の動きに資産を合わせる(デュレーションをそろえるなど)LDI戦略の考え方 |
| モンテカルロとシナリオ分析 | 乱数で多数の将来経路を作ったり、特定のシナリオを想定したりして、資産配分案の結果のばらつきや弱点を確かめる |
| モニタリングと投資政策の修正 | 市場環境や投資家の状況の変化を監視し、必要に応じて投資政策書やポリシー・アセットミックスを見直す手順 |
| 平均・分散法の課題と解決法 | 平均・分散最適化は入力値の誤差に敏感で極端な配分になりやすい。市場均衡から出発して見通しを織り込むBlack=Littermanモデルや、リサンプリング法で安定させる |
| システマティック・リスクの管理 | 資産配分を、市場全体の動きに対するリスク・エクスポージャーの管理としてとらえる考え方 |
| リスク・パリティと最小分散法 | 期待リターンの予想に頼らず、各資産のリスク寄与を均等にする(リスク・パリティ)、全体の分散を最小にする(最小分散法)配分手法 |
| リスク・ファクター型の資産配分 | 株式・債券といった資産の区分ではなく、金利・インフレ・信用などの共通リスク要因への配分で考える手法 |
| リバランスの意義と留意点 | 値動きで崩れた配分を基本ポートフォリオに戻す意味と、取引コストや税金とのバランスなどの注意点 |
| リバランスの手法 | 一定期間ごとに戻す定期リバランスと、許容乖離幅を超えたら戻す乖離幅リバランスの違い、どこまで戻すか(リバランス目標) |
| タクティカル・アセットアロケーション | 市場見通しに基づき、基本配分から一時的に比率を傾けて超過収益を狙う手法の概要 |
| ダイナミック戦略とリスク特性 | CPPIなどのポートフォリオ・インシュランスは凸戦略、コンスタント・ミックスは凹戦略、バイアンドホールドは線型戦略。上昇・下落・もみ合い相場で成績がどう変わるかを比べる |
| マネジャー・ストラクチャー | 複数の運用会社(マネジャー)をどう組み合わせて全体の運用を構成するかという考え方と実務上の注意点 |
| パッシブとアクティブの運営 | 資産配分をインデックスに連動させて運営するか、積極的に超過収益を狙って運営するかの違い |
(3) ポートフォリオの構築とリスク管理
ポイント:「どれくらい損をする可能性があるのか」を数字にして管理する方法です。VaRとその推定方法、テールVaR、ストレス・テスト、リスク・バジェッティング、信用リスクまでを学びます。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| リスク管理の意義とプロセス | リスクを特定→測定→管理→モニタリングする基本の流れと、なぜリスク管理が必要なのか |
| リスク・エクスポージャーの管理 | 金利・株価・為替などの変動に、ポートフォリオがどれだけさらされているかを測り、調整する方法 |
| リスク許容度とリスク管理 | 投資家がどこまでの損失に耐えられるかが、リスク管理の目標や上限を決める出発点になる |
| ベンチマークと市場インデックス | 運用の目標や評価の物差しとしてベンチマークを使う方法と、良いベンチマークの条件 |
| リスク・バジェッティング | 全体で許容するリスクを「予算」として資産やマネジャーに割り振り、リスクあたりの効率を高める考え方 |
| パッシブ運用とアクティブ運用 | 指数に連動させる運用と、指数を上回ることを狙う運用の特徴を理解し、投資管理の中でどう使い分けるか |
| IRによるマネジャー選択 | IRが高いマネジャーほどアクティブ・リスクあたりの成果が大きい――IRを使った選択とアクティブ・リスクの配分 |
| VaRの考え方と長所・短所 | 「一定の確率(例:99%)で、一定期間の損失はこの金額以内」という指標。わかりやすい一方、それを超える損失の大きさはわからない |
| VaRの3つの推定方法 | 正規分布などを仮定するパラメトリック法、過去データをそのまま使うヒストリカル法、乱数で多数のシナリオを作るモンテカルロ法の違い |
| テールVaR・CFaR・EaR | VaRを超えた場合の平均損失(テールVaR)、キャッシュフローや利益がどれだけ下振れしうるか(CFaR・EaR)を測る指標 |
| さまざまな定量分析手法 | 金利が1%動いたら価値がどれだけ変わるかといった感応度分析など、VaR以外のリスクの測り方 |
| ストレス・テストとシナリオ分析 | 過去の金融危機や極端な市場変動を想定して損失を試算し、VaRでは見えない大きな損失に備える |
| クレジットリスクの評価と管理 | 取引相手や発行体の債務不履行のリスクを、デフォルト確率や回収率などで評価し、管理する基本 |
(4) 機関投資家の資産運用
ポイント:年金基金・銀行・保険会社・資産運用会社など、機関投資家ごとに「何のために、どんな制約のもとで運用するのか」を学びます。特に年金は負債とあわせて考えるのがポイントです。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 年金のリスク許容度の決定要因 | サープラス(資産−負債)の大きさ、母体企業の財務体力や収益性などで、年金がどこまでリスクを取れるかが決まる |
| DB年金の投資政策とリスク管理 | 確定給付企業年金の投資政策をどう策定し、給付を守るためにリスクをどう管理するか |
| ハイブリッド年金 | キャッシュバランス・プランのように、確定給付型と確定拠出型の特徴をあわせもつ制度の仕組みと特性 |
| 金融機関・生保の運用 | 銀行や生命保険会社は預金や保険契約という負債を抱えるため、規制や負債の性質に応じた目的と制約がある |
| リスク管理とALM | 資産と負債をあわせて管理するALMの考え方と、年金・金融機関・保険会社それぞれのリスク管理手法 |
| 特性に応じた投資政策 | 投資期間・流動性ニーズ・規制・税などの違いをふまえ、機関投資家ごとに投資政策を組み立てる |
| 運用会社とヘッジファンド | 資産運用会社やヘッジファンドのビジネスの仕組み、報酬体系や運用の特徴 |
| 運用コンサルティング会社 | 年金などに対して、資産配分やマネジャー選定・評価を助言する運用コンサルタントの役割 |
| ESG投資とスチュワードシップ | 機関投資家がESGを投資判断に組み込み、スチュワードシップ・コードに沿って企業との対話を行う取組み |
(5) 個人投資家の資産運用
ポイント:個人は、働いて稼ぐ力(人的資本)、年齢、長生き、税金など、機関投資家とは違う事情を抱えています。資産を「ためる」局面と「取り崩す」局面に分けて、個人に合った運用を考えます。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 人的資本とライフサイクル投資 | 将来の労働収入の現在価値(人的資本)も資産の一部と考え、若いうちは金融資産でリスクを取りやすいといった資産配分への影響を理解する |
| 個人特有のリスク | 老後資金が足りない、想定より長生きする、インフレで目減りする、取崩し開始直後に暴落する(リターン配列のリスク)など |
| 世代別の資産運用 | 若年期・中年期・退職期など、年齢や人生の段階に応じて資産運用の考え方がどう変わるか |
| 資産形成期の運用 | 積み立てて資産をふやす局面で、投資信託や生命保険をどう活用するか |
| 取崩し期の運用 | 資産を引き出しながら暮らす局面での運用と、長生きリスクに備える生命保険(年金保険など)の活用 |
| 投資信託と投信評価機関 | 個人にとっての投資信託の役割と、投信を評価・格付けする機関の機能 |
| ゴールベースの資産管理 | 教育費・老後資金など目標ごとに資産を管理する考え方と、ポートフォリオ理論・行動ファイナンスとの関係 |
| DCとNISA | 確定拠出年金(DC)と少額投資非課税制度(NISA)の仕組みと、資産形成での使い方 |
| 課税の影響と投資期間 | 税金がリターンを押し下げる影響と、非課税や課税の繰延べの効果が投資期間が長いほど大きくなること |
(6) 国際証券投資と為替管理、資産配分
ポイント:海外の株式・債券に投資すると、必ず為替リスクがついてきます。通貨をどれだけ持つか、どうヘッジするか、ヘッジコストはいくらか、そして国際分散投資の理論を学びます。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 国際証券市場の仕組み | 海外の株式市場・債券市場の構造や特徴の概要 |
| 国際ポートフォリオのエクスポージャー | 国・地域・通貨ごとにどれだけのリスクを持っているかを分解して分析・管理する方法 |
| 通貨配分の方法 | 市場環境や投資目的・制約に合わせて、どの通貨をどれだけ持つかを決める |
| アクティブな通貨管理 | 経済・市場分析や金利差などをもとに、為替の見通しに沿って通貨の比率を動かして収益を狙う手法 |
| 為替ヘッジと最適ヘッジ比率 | 為替予約や通貨スワップでヘッジする方法、どの程度ヘッジするか(ヘッジ比率)、ヘッジコストが主に金利差で決まることなど |
| 通貨オーバーレイ | 多通貨ポートフォリオで、証券の運用とは切り離して通貨エクスポージャーだけを専門に管理する方法 |
| ホーム・バイアス | 理論上の最適より自国資産を多く持ちがちな傾向と、その理由 |
| エマージング市場のリスク | 新興国に特有の政治・流動性・資本規制などのリスクと、新興国通貨のエクスポージャー管理 |
| 国際資産評価モデル(IAPM) | CAPMを国際的に拡張し、為替リスクに対するプレミアムも期待リターンに含めて考えるモデル |
| 市場の統合と分断 | 資本が国境を越えて自由に動く「統合」された市場と、規制などで「分断」された市場で、資産価格の決まり方が変わる |
| グローバルな資産配分 | 世界の資産を対象にした資産配分の理論と手法。市場均衡から出発するBlack=Littermanモデルなどを使う |
(7) 投資パフォーマンスの測定・評価と提示
ポイント:運用がうまくいったかどうかを「何が効いたのか」まで分解して評価し、公正なルール(GIPS基準)で投資家に示す方法を学びます。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 要因分析の概要 | ベンチマークとの差を、資産配分の効果と銘柄選択の効果などに分解する要因分析の方法と使い方 |
| ファクター・モデルによる株式評価 | 株式ポートフォリオのリターンを、市場や規模などのファクターの寄与と、それ以外の部分に分けて評価する |
| 債券ポートフォリオの要因分析 | 債券のリターンを、金利全体の動きによる部分(金利効果)と、運用者の判断による部分(アクティブ運用効果)に分けて解釈する |
| リスク調整後の評価指標 | シャープ・レシオ(総リスクあたり)、トレーナー・レシオ(ベータあたり)、ジェンセンのアルファ、IRを計算し、場面に応じて使い分ける |
| 最大ドローダウンとソルティノ | ピークからの最大下落率や、下方リスクだけで割ったソルティノ・レシオで、ヘッジファンドのように分布がゆがみがちな運用を評価する |
| 評価の目的と実務 | パフォーマンス評価は何のために行うのか、実務ではどんな点に注意するのか |
| 定性評価の使い方 | 数字だけでなく、運用哲学・組織・プロセスなどの定性面も評価に加える方法と注意点 |
| GIPS基準の目的 | 運用成績を公正に表示し、十分に開示するための世界共通のルール。運用会社同士の比較を可能にする意義 |
| GIPS基準の構成と概念 | 同じ戦略の口座をまとめたコンポジットなど、GIPS基準を支える主要な概念と構成 |
| GIPS基準に基づく提示 | GIPS基準に沿って、パフォーマンスをどのように計算・提示・報告するか |
(8) 行動ファイナンスの意義と応用
ポイント:「人はいつも合理的に判断するわけではない」という前提から、投資家の行動と市場の値動きを説明する分野です。プロスペクト理論の価値関数・確率ウェイト付け関数、行動バイアス、アノマリーが中心です。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 期待効用理論とプロスペクト理論 | 伝統的理論の土台である期待効用理論と、実際の人の選び方を説明するプロスペクト理論の違い |
| 期待効用理論で説明できない行動 | アレのパラドックスのように、期待効用理論の前提と矛盾する実際の選択の例 |
| プロスペクト理論の主要概念 | 人は損得を参照点からの変化で判断し、同じ額なら利益より損失を重く感じる(損失回避)。利益ではリスク回避、損失ではリスク追求になりやすい |
| 実際の選択との整合性 | プロスペクト理論を使うと、実際の人の選択行動がうまく説明できることを確かめる |
| 客観確率と主観確率 | 統計的な確率と、人が頭の中で感じる確率はずれることがある |
| 価値関数と確率ウェイト付け関数 | 価値関数は利益側で凹・損失側で凸、損失側が急な形。確率ウェイト付け関数は小さな確率を過大に、大きな確率を過小に評価する傾向を表す |
| 効率的市場仮説と裁定の限界 | 価格のゆがみがあっても、コストやリスクのために裁定取引で解消されきらない場合がある |
| 行動バイアスの説明 | 代表性・利用可能性・アンカリングなどのヒューリスティックや主観確率で、投資家の非合理的な行動を説明する |
| パフォーマンスと価格形成への影響 | 売買のしすぎや損切りの遅れなどのバイアスが、個人の成績や市場価格にどう影響するか |
| 伝統的モデルとアノマリー | CAPMなどでは説明できない規則的なリターンのパターン(アノマリー)と、伝統的モデルとの関係 |
| 新しい資産価格モデル | アノマリーを説明するために生まれた、収益性と投資の要因を加えたファーマ=フレンチの5ファクター・モデルなどの背景と内容 |
(9) オルタナティブ投資資産の種類、特徴と投資管理
ポイント:株式・債券以外の投資先である不動産・プライベート・エクイティ・ヘッジファンド・コモディティについて、特徴、価値評価、リスク、評価の難しさを学びます。学習ポイントが最も多い大分類です。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 伝統的資産との違い | 流動性が低い、時価がつきにくい、情報が少ない、報酬が高いなど、株式・債券投資との違い |
| 概念とポートフォリオでの活用 | オルタナティブ投資とは何か、ポートフォリオの中でどんな役割を持たせるか |
| リターン拡張とリスク低減 | 伝統的資産と異なる収益源による「リターンを高める効果」と、相関の低さによる「分散効果」 |
| 主な分類と戦略 | 不動産・プライベート・エクイティ・ヘッジファンド・コモディティなどの特性と代表的な戦略 |
| 価値評価・リターン・リスク管理 | 時価がないため鑑定評価などに頼ると値動きが平準化され、リスクが小さく見えやすいといった評価上の問題と管理方法 |
| ベンチマークと評価手法 | 適切なベンチマークを作りにくいという課題と、オルタナティブ投資の成績の評価方法 |
| マネジャー選択とデュー・ディリジェンス | 運用会社の戦略・組織・リスク管理・運営体制を事前に詳しく調査する重要性 |
| 不動産投資と証券化市場 | 不動産投資の基本と、不動産を証券化して投資しやすくした市場の仕組み |
| 不動産の価値評価 | 将来の賃料収入などを割り引くDCF法、純収益を還元利回りで割る直接還元法などの基本手法 |
| REIT | 不動産投資信託の仕組み、NAVなどを使った価値評価、投資手法 |
| プライベート・エクイティの概要 | 未上場企業の株式に投資するPEの特徴。流動性が低く長期投資になる点など |
| VCとバイアウト | 成長初期の企業に投資するベンチャー・キャピタルと、成熟企業を買収して価値を高めるバイアウトファンドの仕組みと特性 |
| PEファンドの構築と評価 | ファンドの組成の仕組みと、初期にリターンがマイナスになりやすいJカーブ、IRRや投資倍率による成績の測り方 |
| ヘッジファンドの主要戦略 | ロング・ショート、グローバル・マクロ、イベント・ドリブン、レラティブ・バリューなど戦略ごとのリスク・リターンの特徴 |
| ヘッジファンドの報酬と評価 | 管理報酬と成功報酬の組み合わせやハイウォーターマークの仕組み、成績評価の注意点 |
| ファンド・オブ・ヘッジファンズ | 複数のヘッジファンドに分散投資する仕組み。分散やデュー・ディリジェンスの利点と、報酬が二重にかかる欠点 |
| コモディティ投資の基本 | エネルギー・金属・農産物などへの投資の仕組みと目的(インフレ対策や分散)、分類 |
| コモディティの評価とリスク・リターン | 先物を使うコモディティ投資のリターンが、現物価格の変化・ロールの損益・担保金利に分けられることなど |
| コモディティ指数 | コモディティ指数の構成銘柄やウエイトの決め方と、指数リターンの特性 |
ポートフォリオ・マネジメントを学ぶときのコツ
1. 「投資家の目的と制約」から考える
年金、保険会社、個人と投資家が変わると、正しい資産配分やリスク管理も変わります。2次は記述式の総合試験なので、誰のための運用で、何が制約なのかを最初に整理してから答えを組み立てる習慣をつけましょう。
2. 1次の理論を土台にして積み上げる
トラッキングエラー、IR、シャープ・レシオ、ファクター・モデルなどは1次で学んだ平均・分散やCAPMの延長線上にあります。あいまいな部分は1次の内容に戻って確認すると、2次の応用がぐっと理解しやすくなります。
3. 手法は「長所・短所」をセットで押さえる
VaRの3つの推定方法、リバランスの手法、ダイナミック戦略、平均・分散法とBlack=Littermanモデルなど、2次では手法の比較がよく問われます。計算の練習に加えて、それぞれの長所・短所を自分の言葉で説明できるかを確かめましょう。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、ここで紹介した学習ポイントを1つずつ動画で解説しています。テキストとあわせて活用してください。
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よくある質問
Q. 2次のポートフォリオ・マネジメントは1次と何が違いますか?
1次は現代ポートフォリオ理論などの基礎が中心ですが、2次はリスク管理、為替ヘッジ、行動ファイナンス、オルタナティブ投資まで範囲が広がり、投資家の状況に合わせて手法を使いこなす実務的な内容になります。解答も記述式です。
Q. 学習ポイントが多くて不安です。どこから手をつければいいですか?
まず(1)(2)でアクティブ・リスクと資産配分の考え方を固め、次に(3)のVaRなどのリスク管理、(7)のパフォーマンス評価へ進むのがおすすめです。そのうえで(4)(5)の投資家別の運用、(6)(8)(9)と範囲を広げていくと、つながりが見えやすくなります。
Q. 学習ポイントとは何ですか?
日本証券アナリスト協会が「CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」として公表している、学習内容の一覧です。出題範囲の公式な目安になるので、テキストを読むときはどの学習ポイントを学んでいるのかを意識しましょう。
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」にもとづき、証券アナリストアカデミーが要約しています。
